ロシアの最先端ロボットとして紹介された人型ロボットだが、中に人が入ってるコスプレスーツだったことが発覚した件(ロシア)
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2018年12月11日にロシア、ヤロスラヴリで開催された科学フォーラム「PROJECT」のオープニングで披露された最先端の人型ロボット「ボリス(Boris)」
ホンダ社のアシモにも似たボリスは、オープニングの様子を放送した報道番組ロシア24では、「ロシア最先端のロボット」と紹介されていた。
歩いたり会話したりできるだけでなく、計算をしたり、踊ったりすることまでできるという触れ込みで、オープニングセレモニーでその高度なパフォーマンスを観衆に披露して、圧倒的なインパクトを与えていた。
もし本当にこれがロボットだったら確かに最先端だろう。
だがその実態は、中に人が入っているコスプレスーツだったのだ。
ロシアの科学フォーラム「PROJECT」で最先端の人型ロボットとして紹介された「ボリス(Boris)」の映像
На молодежном форуме в Ярославле чувака нарядили в ≪робота Бориса≫. Танцевать его уже научили.
— Советский! (@Soviet_flag) 2018年12月12日
Вот это прорыв. Вот это я понимаю.. pic.twitter.com/mIo07Wvmjp
・あれ?おかしいぞ?不自然な点が次々と指摘される
もし完璧な人型ロボットだったらどんなに素晴らしいロボットだろう。だが、腑に落ちない点がいくつかあった。
まず指摘されたのが、センサーの位置だ。
その顔の部分には目と口を模したLEDライトしか確認できず、センサーなしでどのようにしてあの圧倒的なパフォーマンスが可能になったのか不明だった。
さらに会話能力にも疑問符がついた。
ボリスは会場でさまざまな質問に答えていた。しかし付近にマイクのようなものは見当たらず、しかもその音声は会場のスピーカーから流れているように聞こえた。
このために、おそらく事前に録音したものを流していたのだろうと憶測された。
Первый день работы форума "Проектория" открыли 6 авторских уроков лучших педагогов Россииhttps://t.co/ON227RuGhz pic.twitter.com/YDeu8RW9un
— Вести-Ярославль (@VestiYaroslavl) 2018年12月11日
・開発過程は一切公表されぬまま完成していたというミステリー
ボリスがもし本物の人型ロボットだとしたら、その性能は世界最高クラスだ。にもかかわらず、これが開発されているという噂がまったくなかったのも怪しかった。
それまでの研究成果が一切明るみになることなく、これほどまでに完璧なロボットが開発されることなど現実的にありえるのだろうか?
たとえば、アメリカにおけるロボット開発で有名なボストン・ダイナミクス社は、研究成果を折に触れて発表し、ロボットが徐々に高度になっていく様子を一般に伝えている。
・軽やかな足取りでランニングするボストンダイナミクス社の人型ロボット「アトラス」の映像が公開。海外の反応は? : カラパイア
さらにダンスも怪しかった。ボリスのボディには無駄な動きが多かったのだ。
それはプログラムされた機械の動きというよりは、ロボットの振りをしてギクシャクしてしまっている人間の動きのように見えた。
そして、大勢の頭に浮かんだきわめつけの疑問が、「なぜボリスは他の人型ロボットに比べてやたらと大きいのか?」というものだ。
アシモのようなロボットの体はとてもスリムだ。なのに最先端のはずのボリスはやたらとかさばっている——そう、まるで中に人が入っているかのように。
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・実際には中に人が入っていた
そしてその疑惑は正しかったようだ。
ボリスは人型ロボットではなく、中に人が入っているロボットコスプレだったのだ。
ネットでロボットスーツと検索した人たちは、「アレシャ・ロボット・コスチューム(Alesha Robot Costume」というボリスにそっくりなロボットスーツを発見。
なんと25万ルーブル(約43万円)で普通に販売中だった。
ヤロスラヴリニュースが最近投稿した、ボリスを後ろから撮影したキャプチャ画像には、スーツを着用した人間の首がはっきりと確認できる。
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このでっち上げが発覚したあと、ロシア24のユーチューブチャンネルで公開されていたオープニングの様子を映した動画は削除されたが、一度メディアに出回ってしまった「ロシアの最先端ロボット」の記事はそのままの状態だ。
最先端な人型ロボットはロシアで開発されてはいなかったってことだ。
逆にロボットスーツ「アレシャ・ロボット・コスチューム」が欲しくなっちゃったわけだけどね。いいなこれ。これ着てロボットになりたい。
Костюм Робот Алеша 2.0. Обзорная инструкция.
Reference:stjournal.ru/ written by hiroching / edited by parumo