本当に「少女を抱いた」のは…?坦山和尚が実践した「仏道」と「女人禁制」のバランス感覚 (2/3ページ)
どうしたものか、と少女が困っていると、坦山和尚は「ハイちょっとごめんなさいよ」とばかり、無造作に少女を抱き上げてクルリと向きをかえ、少女を足場のよいところまで運んであげました。
こうしてお互いにすれ違うことが出来たのですが、この様子を見ていた奕堂は評判の堅物、内心で眉を顰(ひそ)めていましたが、数町(すうちょう。一町≒約109m)ばかり進んだところで、意を決して坦山和尚に苦言を呈しました。
「坦山君、ダメじゃないか。僧侶は不浄な女性に手さえふれるべきでないところを、あんな風に抱きかかえて運ぶなど、他人が知ったら何と思うだろうか。今後は慎みたまえ」
【原文】「君は甚だ浪漢(をうはん)ぢやないか、納僧家は女人などあんな不浄なものには手も觸れぬと云ふに、先刻の樣な乱暴なことをしては甚だ以て納僧家の面目にかゝはるぢやないか。以後はチト謹むがよからう」
いかにももっともらしい奕堂の言い分ですが、坦山和尚は呵々大笑して答えました。
困っているのが誰であろうと「はっはっは!奕堂君は随分むっつりスケベだね。私がとっくに置いてきた少女を、まだ抱き続けているなんて……」
【原文】坦山からゝと笑つて曰く、ハ……君はまだ彼の少女を抱いて居るか僕はアノ時限りぢやはいと平然……(後略)
そう言われた奕堂は図星を射抜かれ、すっかり恥じ入ってしまいました。
