メディアでもおなじみの脳科学者・中野信子によるヘヴィメタル音楽の脳への効用を論じた新刊『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』! (2/2ページ)
ついこの間まで「モーツァルトを子供に聞かせると頭が良くなる」という学説から、頭を良くするならモーツァルトというのが世間の常識である。
しかし現在ではこのモーツァルト説は科学的には否定されていることを指摘、むしろ思春期の子供の不安定でネガティブに走りがちな精神には、メタルの方が適しているのではないかと推測する。というのも暴力や殺戮、死などをテーマにしているがゆえに、暴力的・反社会的に走りそうな心にカタルシスをもたらし、日常生活で危険な行為に走らないで済むからだ。
これはかなり多くのミュージシャンと出会った記者も痛感していたこと。”凶暴な音楽を作る人ほどまとも”という印象を常に抱き続けてきたから。ステージの上で狂気を発散するミュージシャンも、ステージを降りたらスッキリするんだろうなという感触があったから。
そうしたことを中野は、脳内幸せホルモン「オキシトシン」を絡めて、きっちりとした脳科学的見地から解き明かしていくので、実に痛快だ。またライブでの重低音を浴びることによって肌感覚を含めてメタル音楽が人の心を変えていくことにまで言及していく。
メタルを愛する者は孤独や不安を癒し、自己評価を下げずに済み、攻撃性を和らげて、世間に流されない人間になれるという。メタル好きなら必読、メタルを毛嫌いしている人でも目からウロコを落としてくれる刺激的な著書だった。
入手は全国の書店などで可能だ。Kindle版の電子書籍もあり。