人間はそういう風にできているのか?奇妙な10の心理効果
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良くも悪くも、あらゆる人間が心理効果に操られている。
よく知られたものから、幸いにしてあまり知られていないものまで様々であるが、いずれにせよ、その複雑な作用は理屈や感情を上回る。
ここではそうした、奇妙でありつつも、どこか恐ろしさを感じさせる心理効果について紹介しよう。
・10. 嫌いなものを選択させる反心理作用「リアクタンス」

image:pixabay References:How Does Reverse Psychology Work?
子供に嫌いな野菜を食べさせるなら、自由が制限されそうになると、それを回復しようとする「リアクタンス」という人間の習性を利用するといい。これこそが反心理作用である。
だとえば、ブロッコリーが大嫌いな子供がいたとする。その子にとってブロッコリーは無価値である。だが、反対に自分の好きなように選択する自由は最高に大きな価値がある。
そこで、その子にブロッコリーを食べなさいではなく、食べてはいけないと言うのだ。あら、不思議。自由を失いたくないその子の目に、緑の悪魔がキラキラと光って見えるようになる。
・9. 気を散らされると審美眼が曇る

image:pixabay References:Distraction May Make Us Less Able to Appreciate Beauty
ルーヴル美術館のモナリザは、何もない殺風景な壁に飾られている。せっかくの名画なのだから、ファンファーレでも鳴らして演出すればいいとお考えかもしれないが、こうしているのには理由があるのだ。
じつは気を散らすようなものがあると、審美眼が曇るのである。こうしたことは美術館や昔の哲学者ならとっくに知っていたが、心理学者は最近になってようやく理解し始めたところだ。
ドイルの哲学者イマヌエル・カントはこのように述べている――美は物体の特徴ではなく、見る者の主観である、と。
つまり、絵画などの作品にどれだけ美が見出されるかは、その瞬間それを見る人間がどれだけ意識的であるかに左右される。
ところが気を散らせてしまうものがあると、心の働きが鈍る。その結果、人が感じる美しさは15パーセント低下するのである。
・8. 見知らぬ人でも、信用できる知り合いに似ていると親近感を覚えてしまう「ファミリア・ストレンジャー効果」

image:pixabay References:vian-response.html" target="_blank" title=""This Is Why You Trust Some Strangers and Not Others
物騒な世の中だ。見知らぬ者をいきなり信用するわけにはいかない。だが、この安全対策を破ってしまう心の働きがある。
信用などできるはずもない見知らぬ他人が、知り合いの信用できる人物に似ていたりすると、普通よりも早く信頼できるようになるのだ。その知り合いの誰かは、好きなドラマの登場人物であってもかまわない。
だが、その反対に、過去に虐待を受けた元夫や映画の悪役に似ていたりすると、その人をそうかんたんには信用できなくなる。
ちなみにこの効果が発動されるには、なにも信用できる知り合いのそっくりさんである必要はない。
好悪を問わず、知っている人物の特徴に少しでも似ている部分があればいいのだ。なにしろ、人はその人物に知り合いと似ている部分があるということにすら気づかないくらいなのだ。
・7. サンタが心を傷つける

image:pixabay References:When Do Children Give Up on Santa?
驚いたことに、サンタクロースという作り話のせいで、心に不信感や怒りを植え付けられてしまった大人がいる。
ある大規模な調査によれば、ほとんどの子供が8歳頃にはサンタを信じなくなるという。
子供たちが真実を知るきっかけはさまざまだ。はっきりサンタはいないと告げられた人もいるだろう。
サンタに扮した親を目撃して知る場合もあるだろうし、あるいは空飛ぶトナカイや一晩で無数の人々にプレゼントを届けるといった、どう考えてもあり得ない話から嘘を悟る場合もあるだろう。
大抵の場合、多少がっかりしても子供は大丈夫だ。だが、中には「親はほかにどんな嘘を吐いているのだろう?」という猜疑心を芽生えさせてしまうケースがある。
調査では、成人の15パーセントが大きく裏切られたという思いを抱いており、10パーセントがあからさまに怒っていることが判明した。
大人が良かれと思って吐く悪意のない嘘が、子供に紛れもないトラウマを植え付けることがあるのである。
・「サンタクロースはいる」と嘘をつくことが親子の関係を破壊すという研究結果(英研究) : カラパイア
・6. 先延ばしにすると時間に余裕があると思い込んでしまう罠

image:pixabay References:There's a Scientific Reason You Always Overcommit to Future Plans
こんな経験はないだろうか。
——その日は予定がぎっしりで、いくつかの予定は後日に延期することにした。物事は余裕がなければうまくいかないものだ。ところがだ、翌週になってみたら、殺人的なスケジュールだった先週よりも、さらに忙しくなってしまった。
なぜだか、人は未来のほうが時間に余裕があると思いがちである。2005年の研究では、被験者は数週間後あるいは数ヶ月後のほうがスケジュールに余裕がある一方、お金はそうではないと考えていることが判明した。
当然、時間があるからといって、お金まであることにはならない。人がこのように感じるのは、時間こそが主な関心事項であるからかもしれない。スケジュールを変更するとき、経済的な制約ではなく、時間的な制約にストレスを感じていたと考えられる。
このことは、物事を先延ばしにしてもロクなことにはならないという教訓であるだけではない。
人はしばしば仕事を前倒しにして懸命に働き、休日を楽しむための時間を作ろうとする。だが、このとき同じような勘違いが起きている。
人生は予測不能でせわしない。時間を作るために犠牲を払ったというのに、思ったほど自由な時間は作れないものなのである。
・5. 見ているときには見られている「透明マントの錯覚」

image:pixabay References:Other People Are Probably Watching Us More Closely Than We Think
「透明マントの錯覚(invisibility cloak illusion)」は、並んで待っているときや同僚と働いているとき、あるいは他人とバスに乗っているときなどに起こる。
そうしたとき、人は同乗者や同僚の癖や服装など細々とした点に気がつくだろう――だが、相手からも同じように見られているとは、これっぽっちも想像しない。
2016年の研究では、参加者に実験が開始されるまで待合室で待っていてほしいと頼んだ。じつは待合室で待つこと自体が実験だったのだが、その時点で参加者はそれを知らされていない。
その結果、待っていた人は待合室にいた他の人々の細かい点まで観察していたことが分かった。だが、相手からも同じようにじろじろ見られていたとはちっとも思っていなかった。
まるで透明になるマントでも被っているかのように、なぜだか人は周囲の情報を見ているのは自分一人であると思い込む傾向がある。
だが本当のところは、自分だって同様にしっかり観察されているのだ。
・4. 数か月間の記憶がスッポリ抜け落ちる。一過性全健忘症

image:pixabay References:This New Years' Day, I Learned About Transient Global Amnesia in a Very Personal Way
記憶は謎めいている。これについては面白いエピソードがたくさんあるが、ここでは感情と記憶との関係について紹介しよう。それは10万人に10人未満が発症するとされる「一過性全健忘症」という症状のことだ
この健忘症を発症した人は、突然数ヶ月間の記憶がすっかりなくなってしまう。
周りの人たちは、脳梗塞や認知症を疑うが、一過性健忘症の場合、それらの病気につきものの筋力が低下したり、発音が不明瞭になったりといった症状はないし、その後もずっと記憶喪失が続くわけでもない。
それどころか、ほとんどの人は完全に記憶を回復し、二度と同じ症状が現れることもない。
原因は分からないが、過度の飲酒や特定の薬、強烈な感情やストレスがきっかけなのではという指摘もある。
・なぜ物忘れをするのか? 記憶に関する5つの不思議な事実 : カラパイア
・3. d因子

image:pixabay References:This Test Can Measure the 'Dark Core' of Your Personality
知能の高さを測る指標として、一般因子(g因子)というものがある。この数値から将来的な成功や所得、さらには健康まで予測することができるため、いわば将来の明るさを示していると言えよう。
これと反対に、人の闇の部分を計測した指標がある。それが、サディスト、サイコパス、自己愛性の人間が抱えている「ダークコア」に基づいて作られたd因子である。
多少の差異はあるにしても、少なくともこれら3種の人間は、他人を犠牲にしてでも自分を優先する。この有害な傾向を示すものこそがd因子である。
これを効果的に測定する方法を開発するために、ある研究者は9つのマイナス性格特性に着目。数千人を対象とした3つの研究から、エゴイズム、マキャベリズム、サイコパシー、道徳離脱、心理的特権意識、サディズム、悪意、利己主義に関する情報を集めた。
そして、これらの情報を解析し、複数の特性が一人の個人に現れることがあるのかどうかを調査すると――非常によくあることが判明した。
だが、より重要なことは、この研究によって誰でも受けられるテストが作られたことだ。このテストを受けてもらえば、その結果からd因子が測定され、倫理的に疑問符がつくような状況でダークサイドに堕ちる危険性を把握することができる。
・最も邪悪な人格特性「ダークトライアド」とは?サイコパシー+マキャベリズム+ナルシシズム+の3つの反社会的人格をあわせもつ : カラパイア
・2. 男性の性差別主義者が滅多に変わらない理由

image:istock References:Sexism Sucks for Everybody, Science Confirms
かつて、多くの女性が性差別やセクハラなどに声を上げられずにいた。こうした行為が男らしさの表れとみなされた時代もあったのだ。
そのような価値観はすでに時代遅れのものとなっているが、あいかわらずそれに囚われたままの男性がいる。じつはこうした男性は、心の問題を発症しやすいことが明らかになっている。
2万人の男性を調査した研究では、性差別主義者が女性を害し、反社会的行動に走り、メンタルヘルスを崩す傾向を促する3つの特性が発見された。
それらは女性に対する支配、超自立的、プレイボーイといった特性だ。
まず女性を害するような行為は、暴力沙汰のような困った状況を作り出すために、そうした男性は社会から孤立するようになる。
だが、そうした男性のほとんどは変わる見込みがない。助けを求めるなど、自立して、感情を表に出さないという社会が定めた理想の男性像に反することだからだ。
古い価値観に囚われた男性は孤立し、怒りを溜め込むほどに、ますます女性をはじめとする他者に攻撃的になり、自分を正当化してくれる同じような価値観の男性とつるむようになるという。
・1. 孤独が続くと心理的冬眠状態に入る「越冬症候群」

image:istock References:In Antarctica, Scientists Enter an Extreme State of 'Psychological Hibernation'
人は冬眠などしないが、孤独な時間があまりにも長い人だと似たようなことが起きる。
南極に10ヶ月間滞在した27名の研究者を調査したところ、普通の人なら体験しない対処メカニズムの存在が明らかになったのだ。それが「越冬症候群」である。
いわば極端な心理的冬眠状態で、南極のような雪に閉ざされた場所に長時間滞在することになれば発症の確率は上がるのだ。
調査から判明したように、冬の間、室内にずっと閉じ込められた結果、睡眠に影響が出て、元気がなくなってしまったとしても不思議ではない。
だが意外だったのは、何もかもが鈍麻していたことだ。隊員の問題解決能力が低下していただけでなく、拒絶や憂鬱といった消極的ストレス反応まで低下していた。
この予想外の機能不全は、無関心を引き起こし、それが心の問題をいっそう悪化させてしまっていた。
念のために補足しておくと、越冬症候群は、隔離状態が永遠ではないということを知っている場合にしか発症しない。
written by hiroching / edited by parumo