『まんぷく』ぶしむす・松坂慶子が朝ドラに起こした革命 (2/2ページ)

日刊大衆

 福子の身を案じることはあれど萬平に対してはケンカ腰で、これまで萬平への優しさがにじんだシーンは記憶にない。とはいえギスギスするわけではなく、鈴はいつもドラマを盛り上げる役として機能していたのがすごい。いつの時代も「私は武士の娘です」の名調子を連発してたくさんの笑いを巻き起こし、物語を引っ張ってきたのだ。

 紫綬褒章も受章している名女優、松坂慶子が見事に“笑い”のパートを担当した『まんぷく』だが、鈴はただの盛り上げ役じゃなかったということを、声を大にして語りたい。『まんぷく』は安藤百福一家をモデルとしてはいるが、ヒロインの夫が3度も逮捕されたり、家を売らないといけない状況に追い込まれたりと、ジェットコースター的な展開が続く忙しいドラマだった。そこで重要だったのが、鈴の役割だ。

■『まんぷく』は松坂慶子がいなければ凡作だった!?

 鈴は笑いをとるコミカルさを持ちながらも、福子萬平夫妻を的確に叱咤する、名ツッコミとしても機能していた。もしも彼女がいなかったら、このドラマはちょっと変わった夫婦の成功譚か有名企業の伝記で終わってしまい、ここまで視聴者の共感を得られなかったのではないだろうか。視聴者目線で主役夫妻をぶった斬り、ドラマと視聴者との距離を近づけてくれた鈴の存在は、“ヒロインの母”という役割以上のものだった。

 またヒロインの母が、ここまで出ずっぱりだったこともポイントだ。主人公が嫁いだり、地元を離れ活躍することが多い朝ドラにおいて、ヒロインの母がほぼ皆勤賞なのは異例だろう。今回の成功で、今後もこのスタイルがとられる可能性は十分にある。松坂慶子の名演が、朝ドラの“母親役”の地位を、さらに高めたといってもよいだろう。

 残り1か月の放送となり、ついに萬平を認めた鈴。それでも、最後までヒロイン夫妻に厳しいツッコミを入れまくってほしい。1970年代に舞台が移っても鈴は見事に健在だったし、このまま最後まで武士の娘としてドラマを支えてくれるだろう。(朝ドラ批評家・半澤則吉)

※画像はNHK『まんぷく』番組公式ホームページより

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