出勤するだけでOK。好きなことをするだけで月給25万円が支給。新たなる終身雇用制度がスタート(スウェーデン)
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2025年、スウェーデンで、ある終身雇用の仕事への求人が始まる。
給料は約25万円からとまずまずで、スウェーデンの公務員に準じた昇給、有給、年金があり、しかも好きなだけその“”仕事”に就いていられる。
具体的は”仕事”内容は?
好きなことをするのが仕事だ。
一応、毎朝出勤し、コルスヴァーイェン駅で出勤のタイムカードを押すことにはなっているが、それ以外は、駅構内にいる限り定められた職務や責任はない。何をやってもいいのだ。
しかも世界中のどこからでも、誰でも応募することができるというのだから聞き捨てならない。
・永遠の雇用プロジェクト
この夢のようなプロジェクト「エターナル・エンプロイメント(Eternal Employment/永遠の雇用)」は、現実世界の経済を不思議な形で表現してきたスウェーデンのアートデュオ、シモン・ゴルディンさんとヤコブ・セネビーさんが考案したものだ。
本プロジェクトのために、両氏はスウェーデン公共芸術局と運輸局の協賛による賞金約7000万円を投じる。これを基金として、委員会が設置され、運用や従業員の雇用・給与の支払いが行われる。
応募要件にスウェーデンの国籍は必要とされおらず、世界中のどこから誰でも応募することができる。両氏によれば、「基金は公平な機会をもたらす雇用主」であるからだそうだ。
また従業員の退職も自由で、その場合は次の後任が募集されることになる。

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・労働者に完全なコントロールを
コルスヴァーイェン駅は、現在ヨーテボリで建設中の3つの地下鉄駅の1つで、交通渋滞を緩和し、雇用を生み出すことが期待されている。
ゴルディンさんとセネビーさんは、この仕事が駅をただの中継地点以上のものにし、さらにヨーテボリに変化を起こしてくれるよう期待している。
スウェーデン第二の都市であるヨーテボリは、かつて主要な工業地帯で、中心的な港湾都市でもあった。
しかし最近では芸術やエンターテイメントの街として変貌を遂げており、多彩な美術館やコンサートホールが集うようになった。

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一方、かつて主役だった労働者階級の人たちは疎外されつつある。
ゴルディンさんとセネビーさんの目には、労働者に完全なコントロールを与える仕事は、経済的なイマジネーションの作用として映っている。
詩人のリナ・エクダールさんによる仕事内容のモックアップはこのように締めくくられている。
「我らはもう耐えられない。応募せよ。引き受けるのだ。感謝する。」
・未来の語り草に
なお求人が開始されるのは2025年。2026年に予定される駅の完成の数ヶ月前からだそうだ。
念のために言っておくと、現代社会において永遠とは文字通りの永遠を意味しない。このプロジェクトで想定されているのは、駅の設計上の耐用年数である120年だ。
しかし、この期間が経過したとしても、プロジェクトによって忘れられない余韻が残ることをゴルディンさんとセネビーさんは願っている。

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二人は、何も決められていない仕事が将来のビジョンであるなどとは考えていない。それでも、プロジェクトを評価するための基準はある。
バートランド・ラッセルの『怠惰への賛歌』の一節をもじったその基準とは、「コルスヴァーイェン駅に勤務するかのような」仕事が語り草になることだ。
さて、その心は?
それを知るチャンスはあなたにも開かれている。
References:Swedish Experimental Project to Hire Someone to Do Nothing for the Rest of Their Life/ written by hiroching / edited by parumo