伝説の「平成・春のセンバツ対決」89年「東邦VS上宮」の劇的幕切れ! (2/2ページ)
大会を通じてほぼ1人で投げ抜いてきただけに優勝目前で一気に感極まってしまったのはやむを得ないところで、遊撃手で主将の元木も必死に宮田を励ます。ところがこの光景を見て、追い込まれていた東邦ナインの闘志に火がつく。1番・山中竜美が四球を選ぶと、続く2番・高木はフルカウントからの外角直球をうまく流し三遊間の深いところへの内野安打で3番・原につなげたのである。
一打同点の場面で、原は前の2打席で打たされて凡退していた直球で必ずストライクを取りに来ると分析。そして初球は直球だった。コースが内角で、詰まった当たりになったが弾き返した打球はセンター前へ。この打球を上宮のセンター・小野寺が処理して懸命のバックホーム。ノーバウンドで本塁まで帰ってきたが、二塁走者だった山中がホーム突入に成功。土壇場で東邦が同点に追いついた。次の瞬間、上宮の捕手・塩路厚は一塁走者だった高木が二塁を大きく飛び出していたところを見逃さず、三塁手・種田に送球。二、三塁間での挟殺プレーを狙った。ボールを受けた種田は迷わず二塁へと送球したが、わずかに逸れ、ライトの岩崎勝己がすかさずカバーのため前進。が、岩崎が捕球しようと腰を落とした瞬間、芝生の影響でボールがわずかに跳ね上がり、岩崎が後逸してしまった。歓声と悲鳴の中、白球が無人のライトフェンスまで転々とするのを見届け、二塁走者の高木が一気にサヨナラのホームへ。あまりにも劇的な東邦の優勝であった。
こうして平成最初の春の選抜王者に輝いた東邦。実はこの優勝で同じ愛知県内のライバルである中京大中京の持つ春の選抜最多優勝記録4回に並んだのであった。そしてそこから29年間、優勝から遠ざかったままである。
3月23日から開幕する第91回春の選抜に出場する東邦は優勝候補の一角として今大会に臨む。はたして平成最初と最後の王座に見事輝けるのか。同時にそれは春の選抜史上単独1位となる5度目の優勝をも意味するのである。
(高校野球評論家・上杉純也)