草刈正雄『なつぞら』の頑固おやじは、大河ドラマの“アノ人”だった
広瀬すず(20)がヒロインを務める連続テレビ小説『なつぞら』(NHK)が、いよいよスタートした。初週の放送では、ヒロインのなつはまだ小学生という設定。そのため子役の粟野咲莉(8)が演じていて、広瀬すずはほぼ登場していないのだが、平均視聴率は23.0%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)を記録するなど、さっそく話題となっている。今回は4月6日の放送を振り返り、その人気の秘訣を考えたい。
太平洋戦争直後、北海道の十勝、柴田家に引き取られた戦災孤児のなつ(粟野咲莉)は、酪農を手伝いながら小学校に通うこととなった。その姿を泰樹(草刈正雄/66)たちは優しく見守る。そんな中、柴田家の末っ子である明美(吉田萌果)を子守り中に泣かせてしまうという事件が起きて……。
第1週から視聴者の気持ちをつかめたのは、子役たちの心のこもった演技のおかげだろう。朝ドラはヒロインの子ども時代から描かれることも多いため、ロケットスタートを切れるかどうかは子役の演技によるところが大きい。『なつぞら』は、なつを演じる粟野咲莉のほか、たくさんの子役が出演しているが、悲しみや葛藤など細かな感情を見事に表現していて、視聴者の心に刺さっている。
とはいえ、ドラマ初週のMVPはなんと言っても、泰樹役の草刈正雄だろう。6日の放送ではセリフがほぼないにもかかわらず、威厳たっぷりな立ち姿と表情で、ものすごい存在感を放っていた。4日放送の第4話では、なつに「ちゃんと働けば、必ずいつかむくわれる日が来る」と、人生哲学を優しく伝えるシーンが感動を呼び、さまざまなニュースに取り上げられた。頑固おやじだが、内に秘めた優しさがにじみ出る芝居で、毎度、感動を誘っている。
泰樹は血がつながらないながらもなつを優しく、そして厳しく見守り続けるおじいさんとして今後も活躍が期待されるが、話題となっているのがあの人気キャラとの類似ポイントだ。
■草刈正雄自身が共通点に言及!
草刈正雄は2016年の大河ドラマ『真田丸』(NHK)の真田昌幸を演じて再ブレイクしたが、この昌幸と泰樹がそっくりなのだ。昌幸もいかにも頭のかたい頑固おやじで、主人公の真田信繁(堺雅人/45)を厳しく育てる父親として人気を博した。放送後には、なんと『草刈正雄 FIRST PHOTO BOOK』(双葉社)という、初の写真集も発売されるなどプチブームが起きるほどだった。
昌幸と泰樹はワイルドでしぶいヒゲ面というのも共通しているし、厳しいながら愛がある強めの口調もそっくりだ。NHKが発行する『週刊ステラ』で、「泰樹は、昌幸の生まれ変わりです!」と草刈本人が語っていたように共通点が実に多い。それゆえにドラマ1週目にして完ぺきにキャラ立ちしており、ぶれない安定した演技がドラマ全体を牽引している。
ヒロインの家族は朝ドラにおける重要な役どころだが、近年は『半分、青い。』の中村雅俊(68)や『まんぷく』の松坂慶子(66)などシニア層が、特に大活躍している。それゆえに草刈正雄が演じる泰樹が、多くの感動を巻き起こしてくれることは確実だろう。今回も、目が離せない半年間となりそうだ。(朝ドラ批評家・半澤則吉)