本好きのリビドー(249) (2/2ページ)
『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版/1600円+税)は、日本が抱えるそうした深刻な問題に密着した壮絶なノンフィクション作品。
孤独死の現場は悲惨だ。理由は不明だが尿の入ったペットボトルがなぜか大量に放置され、壁やドアに血のような黒カビがべっとりことこびりつき、使用済みオムツに無数の虫が群がる。
その中に、遺体と家族との写真など思い出の品が埋もれている。遺体以外は清掃人によってゴミとして処分される。遺族はお構いなしというケースも少なくない。長時間発見されなかったため、遺体が腐敗していることも…。
故人が誰にも看取られずひっそりと生きていた理由はさまざま。虐待などが原因で親子関係を断たれた者、パワハラが原因で会社を退社した中高年、失恋による痛手から引きこもった女性。病死もあるが、自殺もある。目を背けたくなる現場に直面した著者。だが他人事とは思えないという思いを強くする。そう、これは誰もが陥る危険をはらんだ人生の結末なのである。
著者は気鋭のノンフィクションライター・菅野久美子さん。新元号・令和を迎えた日本において、孤独死の問題に“救済”はあるのか、と問いかけてくる。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)