戦争映画＋ゾンビ？　注目の映画『オーヴァーロード』

　J.J.エイブラムスといえば、『ミッション：インポッシブル』や『スター・トレック』を手掛けた有名監督。すでに『スター・ウォーズ　エピソード9』の製作も決まっていて、プロデューサーとしても、我らの中2病気質を存分にくすぐってくれる実力の持ち主ですよね。TVシリーズの『LOST』も『キャッスルロック』も面白かったし、映画『クローバーフィールド』シリーズも最高と、結構死角ナシじゃないですか？　そんなJ.J.エイブラムスが製作を手がけ、「戦争映画とモンスター・ホラーをぶつける設定が気に入った」と公言したのが、本作『オーヴァーロード』。舞台は第二次世界大戦下、ナチの秘密の地下室で何やら恐ろしげな実験が……という設定を聞いただけでも、これは見ずにはいられないですよね。J.J.エイブラムス×ナチの実験なんて、最高です！

という主観は置いておいて、まずは気を落ち着けてストーリーを紹介してみます。ときはノルマンディー上陸作戦の直後、1944年。ドイツ占領下のある村に、連合国軍の空挺師団が差し向けられましたが、敵襲で壊滅寸前に。生き残ったのは、エド・ボイス二等兵（ジョヴァン・アデポ）と上官ほか数名でした。クロエ（マティルド・オリヴィエ）という女性の協力で、なんとか村に忍び込んだものの、破壊工作を命じられた電波塔はしっかりナチスに占領されています。しかも、電波塔のある教会の地下には、村人たちが連れ込まれ、ナチスの科学者が秘密の実験をしているという…。そして、クロエの叔母も謎の病気にかかり、部屋でうめき声をあげています。何かが、おかしい。そんな中、ボイス二等兵は教会に忍び込むのでしたが……。

　前半、空挺師団が落下傘降下するシーンなどは大迫力で、本格的な戦争映画が始まったなという気がするんですが、話はどんどんホラー方向へ展開していきます。村に埋蔵されているタールには何か不思議な力があり、ナチスはそこに着目しているよう。ナチスの人体実験というのは実際に第二次大戦下で行われていたわけですから、このへんもリアルで怖いですよね。

　いろいろと見どころの多い作品ですが、なんといっても一番強烈なのが、ナチス親衛隊将校役のピルー・アスベックです。本当に悪くてめちゃくちゃ強いヤツを嬉々として演じております。それに対する連合国の伍長役がワイアット・ラッセル（カート・ラッセルの息子）というのも渋いですね。

　最近のハリウッド映画では、娯楽作でも登場人物に複雑な背景があったり、ロマンスがあったり、故郷で待ってる妻や子がいたりしますけど、そういう要素が一切ないところもいさぎよいです。ただひたすらびっくりして、ギャッ！　ヒイッ！　と楽しめる、爽快な猟奇アクションでした。

（文／吉田直子）

『オーヴァーロード』
2019年5月10日（金）より全国ロードショー

公式サイト：https://overlordmovie.jp/

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