心理学者「成功のためにはダークな感情が必要」 その理由とは? (2/2ページ)
■ネガティブ感情には「メリット」がある
ここまでで分かったことは、人間を突き動かす根本的な感情は、幸福や快適といった「ポジティブ感情」なものではなく、不安や恐れ、怒りといった「ネガティブ感情」だということだ。
思い起こせばそうかもしれない。
何かに対する怒りによって大きな力を発揮することはないだろうか。また、不安を取り除こうと努力しようと決意することもある。
先日、メジャーリーグを引退したイチロー選手は、その引退会見の中で、1994年に日本でシーズン210本のヒットを打った後の変化について「急激に番付をあげられてしまって、それはしんどかった」と話している。イチロー選手の偉大な記録が苦しさ、しんどさの中で生まれたならば、ネガティブ感情が生み出すものの大きさも実感できるだろう。
確かにネガティブ感情は確かに不快だが、その感情の特性をよく知り、上手く利用していければ人生に良い影響を与えてくれるのではないか? 「怒り」は勇気を持たせてくれるし、「罪悪感」は道に外れた行いを正してくれるだろう。さらに、「不安」は危険を見張っていてくれる。
カシュダン氏とビスワス=ディーナー氏の共著『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』(高橋由紀子訳、草思社刊)は、様々な研究結果を取り上げながらネガティブ感情との上手い付き合い方について教えてくれる一冊だ。
また、本書の中では、快適さへの警鐘やマインドフルネス批判など、現代の自己啓発やポジティブ心理学への見直しもなされている。もちろんポジティブな感情が不必要と言っているのではなく、ポジティブとネガティブのバランスのとり方が豊かな人生を歩めるかどうかを決めるカギとなる。
「ダークな面」は私たち誰もが持っているはず。その感情を上手く活用する術を身に付けてみてはいかがだろうか。
(新刊JP編集部)