マンガ『乙嫁語り』はすべてが詰まったキラキラ「幕の内弁当」! (2/2ページ)
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そのため、序盤はお互いの村の風習の違い(アミルの村ではまだ狩りが行われており、アミルも弓を使いこなせる、など)を知っていく描写がみられ、彼らが徐々に夫婦として成長していく様子を見守るような感覚になる。
そして何より、狩りをしているアミルがカッコいい。ふだんから快活な女性という感じであるが、狩りをするときは「狩人」そのもの。馬を乗りこなし、ウサギを射る描写はその躍動感も相まって非常にカッコいい。大事なので2度言いました。
そんなアミルが徐々に家族の一員となってきたときに、事件が起こる。普通の恋愛漫画ではつきあうまで、結婚するまでに多くの障害を乗り越えていくが、この作品ではそうした駆け引きとは一風異なった障害を乙嫁、家族で乗り越えていく。
その障害というのがほかならぬアミルの実家のハルガル家。ハルガル家が、アミルを返せとカルルクたちに迫るのだ。前述したようにアミルの実家は狩りを行っているなかなかの武闘派一家。そんな一家に対してカルルクたちはどう立ち向かうのか、カルルクは自分の妻を守れるのか……。
と、実はここまでの物語は2巻までの内容。こんなに内容の濃いものをかなりのテンポで紡いでいくので、少しでも興味の湧いた方は、ぜひ一気読みしてほしい。
■「推し」の乙嫁を見つけるのも楽しい
ではその後、この物語は何処に向かっていくのか。そこで登場するのが、中央ユーラシアを調査・研究に訪れているスミスというイギリス人青年。物語の冒頭ではカルルクたちの家に居候しており、その後、次の目的地へと旅立っていく彼の旅が本作のもう一つの軸なのだ。
彼のそこに暮らす人々の風習などを追及する知的好奇心は、舞台が変わっていっても我々読者をこの世界に引きずり込んでくれる。アミルたちの物語がひと段落すると、今度は彼の旅に同行しながら様々な「乙嫁」たちと出会うことになる。その面々は、過酷な過去を持つ未亡人であったり、まだ子どもっぽさが残る双子の姉妹であったり……。アミルとはまた違った魅力的な乙嫁たちが登場し、美しく、そしてにぎやかな物語が紡がれていく。自分の中で「推し」の乙嫁を見つけるのもこの作品の楽しみ方かもしれない。
『乙嫁語り』は現在11巻まで発売されている。休日などに一気読みし、中央ユーラシアに旅立ってみてはいかがだろうか。
(文/がまあぶら寝太郎TX)