シャーロット・ランプリング主演『ともしび』(日本初公開中)その(2):杉作J太狼XE「美しさ勉強講座」連載101 (2/4ページ)
貧しくはなさそうだが裕福ということでもない。犬を飼っている。この家の中に会話はあまりない。いまさらもう喋ることもないということだろう。仲が悪いわけではなさそうだがもう喋ることも喋る必要もないのだ。だから犬もほとんどなにも言わない。
夫がある日、収監される。なにか罪をおかしたようだが詳しくは語られない。シャーロット・ランプリングはひとり暮らしになる。犬も人に譲った。
子供や孫がいるようであった。複雑な、重大ななにかがあったようで、一生懸命作ったケーキを持って、物騒で恐ろしい地下鉄に乗って、わざわざ届けたが門前払いであった。
若いシャーロット・ランプリングは知的で、涼やかだった。美しい顔だちだった。
この映画のシャーロット・ランプリングはずっと難しい顔をしている。けわしくて、さみしい、つらい、きびしい顔をしている。
ほとんど喋らない。
演劇サークルだろうか、そこで演技するときだけ喋るが、発せられる言葉はただただ虚しい。
劇中、シャーロット・ランプリングは何度か肌を見せる。全裸にもなる。お尻も、バストも、チラッとではない、しっかりと、ヌードになる。
『愛の嵐』(1974年)で衝撃的なヌードを見せた彼女と、たしかに同じ人ではあるのだろうが、現実としてやはり、あまりにも遠い。
老いるというのはこういうことなのですよとシャーロット・ランプリングの肉体が語る。