歴代総理の胆力「松方正義」(1)近代日本最大の財政家 (2/2ページ)
これが世に言う「松方デフレ」とされる不況で、松方は近代日本の財政の礎をつくったと同時に、民衆の抵抗、反発、すなわち階級社会への“先鞭”もまたつけてしまったと言ってよかったのだった。
こうした近代国家への過程で、兌換紙幣制度を創設するにあたり、松方は、次のように明治天皇への上奏を行っている。
「若(も)し民心の動揺を恐れて、紙幣整理の処分を遅疑すれば到底(財政の近代化は)成功を見ることは困難である。故に其の動揺を顧みずして断行するに非ざれば、整理の目的を達成することは出来ません」と。
ここには、松方の財政運営手法についての絶対の自信が窺えたのだった。
■松方正義の略歴
天保6年(1835)3月23日鹿児島県城下の生まれ。伊藤、黒田内閣で蔵相。56歳で、蔵相兼務の第一次松方内閣を組織。自らの内閣総辞職後の第2次山県内閣でも蔵相を務める。大正13年(1924)7月2日、89歳で死去。国葬。
総理大臣歴:第4代1891年5月6日~1892年8月8日、第6代1896年9月18日~1898年1月12日
小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。