王貞治が明かした「長嶋茂雄、大谷翔平、巨人軍、五輪への思い」
「もし、会えるとしたら日本シリーズか……」6月21日、セ・パ交流戦の巨人-ソフトバンク戦で、東京ドームを訪れたソフトバンクの王貞治球団会長(79)は、こうつぶやいたという。
この3連戦に、球界関係者は注目していた。長嶋茂雄終身名誉監督(84)も、王氏と同じく交流戦を視察する予定があったためだ。巨人番記者が言う。
「王さんは、昨年の7月にミスターが入院して以来、対面していません。電話で一度話したきりなんです。ミスターは、主治医から外出の色よい返事がもらえなかったことと、娘の三奈ちゃんの指示で視察できなかった。本人は行きたがっていたようですね」
“ON”といわれる王会長と長嶋氏の関係だが、王会長はこれまで、病み上がりの長嶋氏との対面を意識的に避けてきたという。王氏は、親しい関係者にこう打ち明けている。
「ミスターは、表舞台に出ていきたくてしょうがない性格。会いに行ったりして、僕が下手に刺激しちゃったらよくないでしょ。僕だって会いたいですよ、それは。ただ、今はじっくり回復してもらいたい。あの人は前向きな人だから、きっとよくなると思うよ」
もし、巨人とソフトバンクがCSを勝ち上がり、日本シリーズで対決することになったら、長嶋氏が観戦に訪れる可能性は高い。
「10月は過ごしやすい季節なので、体への負担も少ない。飛行機で福岡まで出かけることはできないが、体調が戻れば東京ドームになら出かけられるはず」(読売関係者)
王監督率いるダイエーホークスと、長嶋監督率いる巨人が激突した2000年の日本シリーズは、“ON対決”と呼ばれ、空前の盛り上がりをみせた。王監督は試合前、「巨人にだけは、絶対に負けたくない。パ·リーグの球団は巨人に日本シリーズで勝つことを目標に戦っているんだ」と言って、闘志を燃やしたという。結果は松井秀喜、高橋由伸が合わせて5本のホームランを放った巨人が4勝2敗で勝利。王監督は、長嶋監督が宙に舞うのをベンチから眺めていた。王氏は今秋、19年越しの“ON対決”を楽しみにしているという。
「僕は長嶋さんの背中を追い続けてきたし、長嶋さんのおかげでプロ野球選手として認められるようになった。巨人では、長嶋さんが長男なら、僕はヤンチャな次男坊かな(笑)」とは、王氏の弁。
1980年に現役を引退し、84年に巨人の監督に就任した王氏だが、88年にペナント連覇できなかった責任を取らされ辞任。以降、巨人とは距離を保っている。そして、95年に電撃的にダイエーホークスの監督に就任するや、以来、ダイエー、ソフトバンクと14年にわたり指揮を執り続け、現在は球団会長としてチームを統括している。
「福岡は(巨人から)一番遠いからいいんだよ……」
ダイエーの監督に就任した際、王氏は近しい関係者に、こう漏らしたという。とはいえ、王氏が巨人を憎んでいるのかといえば、そうではない。
「王さんは変わることのない“巨人愛”を持ち続けています。長らく巨人のOB会長を務めていましたし、今でも毎年12月のOB会には、必ず顔を出しますからね」(球界関係者)
王氏の巨人愛がよく分かるのが、“サイン”だという。
「王さんはホークスに行って“福岡の人”になってからは、サインを頼まれると“気力·王貞治”と書いています。そこに球団名は添えられません。対して、巨人時代は“巨人軍·王貞治”と書くことが多かった。やっぱり、王さんの“心の故郷”は今でも巨人なんですよ」(前同)
■大谷は「僕のホームラン記録を塗り替えるバッター」
そんな王氏が目を細めているのが、メジャーリーグで大活躍中のエンゼルス·大谷翔平(24)だという。高校3年生の大谷が春の選抜大会で、藤浪晋太郎(現・阪神)からホームランを打ったのをテレビ観戦していた王氏は、こう言ったとか。
「彼は、僕のホームラン記録を塗り替えるバッターになるかもしれない」
早くから大谷の才能を見抜いていた王氏。ただし、二刀流に対しては当初から懐疑的だったという。東京プロ野球記者OBクラブの集いに参加した際、王氏は、「僕の個人的な意見だけど、大谷にはバッター一本でやってほしいと思う。投手一本だと出ない日のほうが多いけど、これは実にもったいない。毎日出場してファンを喜ばせるには、バッター一本に絞るしかないよ」と力説したという。
昨年10月に右肘の手術を受けたため、今季は打者専任となっている大谷。そのせいか、成績も好調だ。
親しい古参記者が王氏に、「大谷は、やっぱりパワーがありますよね」と尋ねたことがあった。すると王氏は「違うよ」と遮って、こう続けたという。
「彼の最大の武器はパワーではなくて、スイングスピード。スイングスピードが一番速くなるときにボールに当てられる能力があるから、メジャーリーガーの球でもホームランが打てるんだよ」
天才は天才を知る。王氏が喝破したように、アメリカでも、ここにきて大谷の打者専任論が沸騰している。二刀流にこだわる大谷が今後、どういう決断を下すのか注目したい。
ソフトバンク会長として、新戦力の補強やチーム戦略などにも意見を求められる王氏。その多忙ぶりはすさまじいものがあるが、来年の7月24日に開幕する東京五輪・パラリンピックの理事も務めている。王氏の悲願は、もちろん侍ジャパンの金メダルだが、その表情は険しいという。
「自国開催の大会だし、金メダルが絶対条件だけど、メジャーが協力してくれないとベストメンバーが組めない。監督の稲葉(篤紀)は苦しむだろうね」
この王氏の言葉には重みがある。2006年に野球の国際大会WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)第1回大会で、王ジャパンを率いた際、同じ経験をしているからだ。
「ヤンキースの方針もあり、“4番・松井秀喜”構想が早々に頓挫。メジャー挑戦を表明していた城島健司や、メジャー2年目に備えた井口資仁も出場を辞退しています。日本のプロ球団からも辞退者が続出、王監督の構想とは程遠いメンバーで戦うことになったんです」(前出の球界関係者)
そんな王氏に救いの神が登場する。マリナーズ(当時)のイチローだ。イチローは、王氏の携帯に直接電話をかけてきたという。
7月8日発売の『週刊大衆』では続けて王会長の独占肉声を掲載。「愛しのプロ野球」への思いが語られる。