「第87回夏の甲子園」常葉菊川の超攻撃野球を抑えた広陵・野村祐輔の“投球術” (2/2ページ)
8回表には先頭の2番・上本の左前打からチャンスをつかむと、今大会初めて4番に座った山下高久雅が常葉菊川の2番手・戸狩からスクイズを決め、ダメ押しの4点目を奪ったのだ。
広陵はその裏、無死から四球と連打で1点、9回裏にも2死無走者から3本の長短打を集め、2点を返したものの、時すでに遅し。最後は2番・好打者の町田友潤が三塁ゴロに倒れ、万事休したのであった。
春の王者が最強の挑戦者に屈した形となったこの試合、その立役者はやはりエース・野村である。球速100キロそこそこのチェンジアップに沈むスライダー。ボールになる球を生かした組み立てだった。強打を誇る常葉菊川の打者は強振すればするほど、この術中にはまっていったのである。野村とバッテリーを組む捕手の小林も「思い切って振ってくる打線だから、各打者に必ず内角への球を意識させた。沈むスライダーを生かすために、スローボールも効果的だった」と胸を張っていた。
こうして春の王者を撃破して堂々の決勝戦進出を果たした広陵。続く準決勝第2試合の対戦カードからして、優位は動かないと思われた。だが、最後の相手となったのは佐賀北。この大会、“がばい旋風”を巻き起こしていた無名の公立校である。そして試合はまさかの展開に。4‐0とリードしていた8回裏に歴史的な大逆転劇を食らってしまったのだ。広陵はV候補を2チーム倒すも、最後の最後は旋風に飲み込まれてしまったのである。
(高校野球評論家・上杉純也)=敬称略=