「第91回夏の甲子園」今宮健太擁する明豊VS菊池雄星擁する花巻東の激闘 (2/2ページ)
猿川もこれまで菊池の控え投手としてチームの勝利に貢献してきた右の好投手だったが、いかんせん強打の明豊打線には荷が重かった。6回裏には2死満塁のピンチから5番・寿に右前に2点適時打を、8回裏にはこの回先頭の3番・今宮の二塁打から死球、さらに2本の二塁打を浴び、一挙3失点とついに4‐6と試合をひっくり返されてしまったのである。
普通なら、この時点で“ジ・エンド”である。だが、東北勢初の悲願へ絶対に負けられない花巻東は9回表に粘りを見せる。4回途中から登板後、わずか2安打に抑えられていた明豊の3番手・山野恭介を責め、先頭の3番・川村悠真以下が3連打を放ち、同点に追いついたのだ。なおも1死三塁と勝ち越しのチャンス。 この場面で明豊ベンチは先発するも4回途中でKOされた今宮を三塁からふたたびマウンドへ。このピンチで今宮は150キロ台の速球を連発し、2者連続の三振で逆転を阻止。逆に花巻東は絶好の逆転機を逸してしまった。それでもその裏、1死一、二塁という一打サヨナラのピンチを猿川が切り抜け、試合はついに延長戦となる。
その10回表だった。菊池のあとを受けて力投を続けていた猿川に、ついに待望の援護点が入る。2死二塁から3番・川村が中前へ決勝点となる適時打。逆に9回のピンチを死力で切り抜けた今宮にもう力は残っていなかったのである。迎えた10回裏、猿川は四球の走者1人を許したのみで、大熱戦にピリオドを打ったのであった。
死闘の果てに7‐6で難敵・明豊を返り討ちした花巻東はついにベスト4へ進出。悲願まであと2勝と迫った。だが、準決勝の中京大中京(愛知)戦で、菊池は先発を回避。チームは1‐11の大差で敗れた。超高校生級の怪物左腕を持ってしても“大旗の白河の関越え”はならなかったのである。
(高校野球評論家・上杉純也)=敬称略=