「第91回夏の甲子園」現・日ハム西川遥輝らが捧げた監督の「歴代最多勝記録」 (2/2ページ)

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 一方、強打が自慢の智弁和歌山だったが、この日は5回を終わってわずか3安打と押さえ込まれていた。実はこの年の打線はスタメン9人中5人が2年生と若く、例年に比べて破壊力不足であった。そんな小粒な打線がようやく反撃を開始したのは終盤7回表。1死からの長短打などで1点を返し、なおも1死一、三塁。ここで9番・2年生の城山晃典に代わって代打に主将の左向勇登が登場。するとこの左向が3年生の意地を見せる中前適時打。4‐5とついに1点差に迫ったのだ。

 そしてこの打線の追撃に背中を押されたエース・岡田がついに目覚めた。5~7回までで許した安打はわずか1。4奪三振と本来の投球を完全に取り戻したのである。8回裏も2つの三振と一ゴロで簡単に3者凡退に抑えた。最終回の攻撃に弾みをつけるナイスピッチングである。

 迎えた土壇場の9回表。先頭の7番・北畠良真が左前打で出塁した1死二塁から控えの3年生・喜多健志郎が代打で打席に立つと、左中間を割る適時二塁打。とうとう同点に追いつく。さらに満塁として打席には3番・西川。この西川が負傷した左手をかばうように右手1本で右翼線へ打球を運ぶ勝ち越し2点適時二塁打。その勝負強さを見せつけたのだった。

 この回、さらに左犠飛で1点を追加した智弁和歌山はエース・岡田がその裏の相手の攻撃を3者凡退で抑えて勝利。恩師・高嶋仁監督に甲子園最多勝利タイとなる58勝目をプレゼントしたのである。まさにチーム全員の総力戦による勝利であった。

 しかし、続く3回戦。監督の甲子園単独最多勝利を狙ったチームは、都城商(宮崎)の前に1‐4で無念の敗退。偉業達成は2年生・西川を中心とした新チームに引き継がれることに。そしてその新チームはみごと、この翌年の春選抜で高嶋監督に59勝目を届けることとなるのである。

(高校野球評論家・上杉純也)=敬称略=

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