「牛乳を飲むと下痢をする」に隠された人間の進化の驚異とは (2/2ページ)
過去数千年の間に、世界のいくつかの地域(東アフリカ、中東、北ヨーロッパ)のヒト集団が牛を飼うようになった。彼らはそれぞれ別のヒト集団であり、牛を飼うという行為が東アフリカから中東に伝わった、というようなことはない。
一方で、どの地域のヒト集団にも、先述のラクターゼを作る遺伝子が離乳して以降も「OFF」にならず、生涯スイッチが入ったままの人がいる。つまり、別々のヒト集団の中でそれぞれに「生涯ラクターゼを作り続ける」という同じ適応能力を獲得する人が現れたのだ。これも一つの収斂進化だといえる。
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ある環境に適応するための進化の解は一つなのか、それとも複数あり、今存在する生物はたまたまそのうちの一つを選び取ったのだろうか。
本書で紹介されている収斂進化の例はこんな疑問をなげかけてくる。もし前者であるならば、隕石の衝突がなく、恐竜がその後も生き延びていたとしたら、今日人間がもつ特徴のいくつかを恐竜の子孫が獲得していたのではないか、という考察も成立しよう。さらにはもし宇宙のどこかに生命体がいたとしたら、生命が維持できる環境が限られている以上、彼らの姿は地球の私たちにある程度似ているのではないか……。
正解のない空想ではあるが、普段は考えもしないことを考えさせてくれる一冊である。
(新刊JP編集部)