巨人軍最強監督・原辰徳「鉄拳&アメ玉」采配の真相

日刊大衆

写真はイメージです
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 選手時代に“ガラスの4番”と揶揄され地獄を見てきた男。一見、脳天気にも見える笑顔の下には氷の本性が潜む!

「優勝は絶対、という重圧の中で見せた手腕は圧巻。やはり名将だよ」と、ベテラン記者が脱帽するのは、読売巨人軍を率いる原辰徳監督(61)。4季連続で優勝から遠ざかっていた盟主・巨人軍を今季、見事に蘇らせた。その采配の中でも「あの試合だね」と、識者の意見が一致しているのが、9月10日のDeNA3連戦の初戦。8回裏の攻撃だった。1点リードの無死二塁、2番・坂本勇人が迷わず送りバントを決めたのだ。「打率.309、35本塁打の坂本が送りバントですから、場内はどよめきました」(専門誌記者)

 そのどよめきが収まらないうち、3番・丸佳浩がレフトに貴重な3点目の犠牲フライ。トドメは4番・岡本和真が左中間に放り込み、決着がついた。「巨人が優勝すれば、この8回の攻撃が最大のポイントだろうね」と、ネット裏で記者たちの意見が一致したという。「1点のために坂本にバントを指示。その意図を感じた丸が、確実にランナーを返すバッティングをした。誰だろうとチームのためには特別扱いはしない。原の強烈な意志がはっきり見えた試合だった」(前出のベテラン記者)

 8月17日には、アレックス・ゲレーロに来日3年目で初となる送りバントを命じ、同じ試合の7回には陽岱鋼を代走で起用した。「年俸4億円がバント、年俸3億円が代走」と皮肉る声もあったが、勝利の前には雲散霧消。5月にゲレーロ、クリスチャン・ビヤヌエバの助っ人2人を2軍に落としたときには、他球団関係者も度肝を抜かれた。「本当になんの遠慮もない、ある意味“鉄拳制裁”です。勝利に徹する、という原監督からの最大のメッセージだったかもしれませんね」(夕刊紙デスク)

 一方、原采配の特徴として若手の起用がある。吉川尚輝を1番・二塁に抜擢し、結果を出していたが、腰痛で離脱を余儀なくされると、田中俊太、若林晃弘、増田大輝、山下航汰らを積極的に起用している。「フレッシュマンの野球に対するひたむきさ、これがチーム活性化を図るのに一番の薬なんだ」と、原監督は記者の取材に答えている。

 しかしながら、厳しい目配りも忘れない。主砲に成長した岡本に、「まずタバコをやめることだ」と苦言。さらに、吉川には「タバコなんか吸ってるからケガするんだ」とバッサリ。「グラウンドに出てるときだけ頑張れば、いいプレーヤーになれるなんて大間違い。お前さんがこれから10年、20年プロ野球の歴史に残るような選手になるためには、腰だけ治そうというケチな考えでいたら、また他の所をケガするぞ」と、激辛伝言を送った。

■菅野智之にお怒り

 その厳しさは、エース菅野にも同様だ。今季は腰痛で3回も登録を抹消するなど、巨人のエースを張り続けた勤続疲労とも思われるが、原監督はお怒りの様子。「マイカーなんて国産車で十分。スポーツカーになんか乗りやがって……」と、周囲に漏らしていたことがあったという。ちなみに、菅野の愛車はポルシェ・カイエンターボ、原監督はレクサスだという。

 伯父、甥という関係からの厳しさもある。「それも、原監督の父・貢さんの教えの一つです」と、貢氏とも親しかった関係者は強調する。東海大相模高校、東海大学とも、父が指導するチームでプレーした原監督。「東海大相模で野球をやりたい、と相談したところ、“息子だから、と周囲から見られることがチームにとって一番のマイナス。ミスしたら普通は5発殴るところ、お前は倍の10発だからな”と言われたそうです」(前同)

 実父の他に、現在の名将・原監督に大きな影響を与えた人物が2人いる。長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督と藤田元司元監督だ。「長嶋監督は選手に対しては非常に厳しく、選手を大人扱いする監督でした。その一方で前任の藤田監督は選手に対する愛情が前面に出るタイプの方でした。私は巨人軍の監督を務めるにあたって、2人の良いところを両方兼ね備えた監督になろうと思いました」という原監督自身の言葉を見れば、現在の采配ぶりにも納得がいく。

「バントを命じたり2軍に叩き落としたりしたゲレーロに、原監督は直接メールを送り、ウォーレン・クロマティを呼び寄せるなど、メンタル面でケアしていた。その結果、ゲレーロは9月15日の阪神戦で起死回生の逆転ホームランを打ち、涙を流していました」(前出の専門誌記者)

 まさにチームを一つにする鉄拳とアメ玉の選手操作術。采配だけではなく、チーム作りまで全権を託される形で監督就任を引き受けただけに、最強軍団を作り上げるまでが、その任務だと言える。

「『巨人軍』でなければいけない。『個人軍』ではいけない。束ねられる一人一人の力を見極め、誰がジャイアンツにとって一番なのか、しっかり観察してチームを作っていきたい」と就任会見で語った原監督。長嶋、藤田、そして父のDNAを受け継いだ男の快進撃は続きそうだ。

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