天才テリー伊藤対談「上田慎一郎」(1)新作は主演俳優の素顔も重ねている (2/2ページ)

アサ芸プラス

テリー 今回の作品は、演じることで何でも解決する集団「スペシャルアクターズ」が、女子高生の依頼を受けて、カルト集団に乗っ取られそうになっている旅館を救う、という話ですよね。今回のキャスティングの肝はどういうところにありますか。

上田 美男美女で演技が上手な俳優が出ている映画って、たくさんあるじゃないですか。ですから、そうじゃない映画を作ろう、というのがまずひとつ。あと今回主役を務めた大澤数人君なんですが、彼は10年間で2~3本しか仕事をしたことがないぐらい経験の浅い役者なんですよ。

テリー それ、ほとんど演技の仕事をしていないってことじゃないですか。

上田 バイトばかりしていて、しかも両親にも10年間俳優をやっていることを伝えていなかったらしいです。そんな彼がとてつもないプレッシャーの中で芝居をするということをフィクションとしての物語、そして彼自身のドキュメントに重ねればおもしろくなるのでは、と思いました。

テリー ということは、小心者で何事にも及び腰の主人公像は、大澤さん自身でもある?

上田 そうですね。メインキャストを15人選んで、彼らとある程度の時間を共に過ごしてから物語を作って、全て当て書き(役者の個性に合わせて脚本を書くこと)していっので、みんな、ほぼそのままの印象だと思います。

テリー 中でも僕が強く印象に残ったのは淡梨さん。ちょっと病んだ感じも含めて、独特の雰囲気があってね。

上田 彼は一度見たら忘れられない、あのパッと見の顔だちと立ち姿に引かれましたね。

テリー そこにカルト集団の教祖役を当てはめるなんて、さすがですよ。

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