〈企業・経済深層レポート〉過去10年間で最高の売上高 絶好調のゼネンコン業界に漂う不安要素 (2/2ページ)

週刊実話



 ゼネコン57社の肝心の利益に目をやると、売上総利益が1兆6516億円で対前年比0.2%減、営業利益が9958億円で同3.5%減となりマイナスなのだ。
「売上高が伸びているのに対して、6年ぶりに各利益が前年を下回りました。ゼネコンの利益のピークアウト(頂点に達して、これ以上成長しないという段階)が鮮明になりましたね」(建設業界関係者)

 その背景を前出の建設業関係者は「原価の高騰」と分析する。

 1992年当時、日本はバブル景気で建設投資総額は約84兆円に達した。だが、その後、バブル崩壊、リーマンショックで’10年までには40兆円規模に落ちる。業界も倒産ラッシュで’97年685万人だった建設業従事者も400万人台まで激減している。

 その後、2011年の東日本大震災で大復興の建設ラッシュ、そして東京五輪開催決定で国全体の建設投資額は再び急上昇。2018年57兆1700億円、対前年比2.1%増となった。
「しかし、一度縮小した業界に、急には人が集まりません。人がいないため人件費は高騰し、加えて、急な仕事が急増したことで材料不足も深刻化しているのです」(同)

 橋梁やビル建築に不可欠の高力ボルトが不足し、工期が1年遅れなどザラで、観光ブームの宮古島では、作業員の日当が3万円にまで高騰しているという。
「国交省によれば、2012年と比べて2017年の人件費は13%前後アップし、材料費は2011年を100とすれば、2017年には107にまで上がりました。人件費と材料費がダブルで高騰してるため、建設業の売り上げが伸びても利益率が伸びない。当然、ゼネコンは人材確保、材料確保のため高い管理費が強いられ、それが業界利益率圧迫につながっているのです」(同)

 業界では、今後、どう利益率を上げられるかが最大の課題となっている。
「ゼネコンは今の環境でITを駆使し、生産性の向上をどう図れるかを懸命に模索しています」(大手ゼネコン関係者)

 例えば、大林組だ。
「人工知能(AI)を活用したシステムの開発を進めていて、トンネル工事の安全性とスピードを高める方法を模索しています。清水建設も建設ロボット技術の開発を進め、人件費抑制や安全性向上に努めている」(同)

 大手ゼネコンは「利益ある成長」を目指し必死だ。
「〈企業・経済深層レポート〉過去10年間で最高の売上高 絶好調のゼネンコン業界に漂う不安要素」のページです。デイリーニュースオンラインは、社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る