天才テリー伊藤対談「船山基紀」(1)イントロは最初の5秒に命を賭ける (2/2ページ)
船山さんが手がけた有名タイトルを軽く挙げるだけでも、沢田研二「勝手にしやがれ」、渡辺真知子「迷い道」、五輪真弓「恋人よ」、Wink「淋しい熱帯魚」‥‥とにかくヒット曲ばかり。
船山 ハハハ、それが全部印税契約だったら、今頃、海外に住んでいますけど。
テリー 編曲の仕事は印税じゃないんですか。
船山 違うんです。1曲ごとの買い取りなんです。アレンジは作曲に付随する扱いになっているので、基本的に印税はなくて。
テリー ええっ!? アレンジによって曲のよしあしって大きく変わるから、本当に大事な仕事なのに。曲のイントロって、編曲家の方が書かれているんですよね。
船山 ええ、イントロを作るのは編曲家の仕事です。60~70年代は、作曲家の先生がギターやピアノで弾き語ったテープを渡されて「じゃあ、頼むよ」なんて依頼される形ですから。90年代以降、パソコンや音楽ソフトが普及してからは、作曲家がイントロも作って「これ、もうちょっと膨らませてよ」みたいな注文も増えましたけど。
テリー 船山さんの手がけた曲がまた、イントロのインパクトの強い曲が多いんですよね。ジュリー(沢田研二)の曲なんて、イントロクイズで出されても1秒でわかりますから。
船山 昔はレコード盤に針を落として5秒以内に「何だ、この曲は!?」って驚いてもらえないと、ラジオなんかで聴いている人たちの耳に引っ掛からないんですよ。だから、イントロを作る時には最初の5秒に命を賭けているんです(笑)。
テリー ダチョウ倶楽部の「つかみはOK」みたいな感じだ。
船山 まさにそれ(笑)。山口百恵さんの音楽プロデューサーとして有名な酒井政利さんとよく仕事をさせていただいたのですが、「船山君、イントロっていうのは1回ひねっただけじゃダメなのよ。まず1回ひねって、僕のところに持ってくる時は、もう1回ひねって来てね」なんて言われたりしましてね(苦笑)。とにかく編曲家には、そういうムチャな注文が多いんですよ。