窪田正孝NHK 朝ドラ『エール』に暗雲? 脚本家交代『花燃ゆ』の悪夢
NHKは5日、来春放送開始の連続テレビ小説『エール』の脚本家を、林宏司氏から清水友佳子氏、嶋田うれ葉氏、演出担当の番組スタッフに交代することを発表した。既に撮影は開始されており多くのメディアが“異例”と報じたが、実は過去にも似たようなことがあった。
思い出されるのは、井上真央(32)が主演を務めた2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』だ。吉田松陰の妹である文(ふみ)をメーンに据えた幕末の物語だが、無名の主人公、しかも原作なしのオリジナル脚本を2名体制で執筆するということもあり、視聴者を取り込めずに視聴率は低迷。テコ入れのため途中から脚本家を1人増やし、最終的には大河ドラマ『天地人』(2009年)などを担当した実力者・小松江里子氏を引っ張り出す荒業に出た。終盤は小松氏が1人で書き上げたとされ、視聴率もやや盛り返したが、終始“間に合わせ感”のあるドタバタ大河となってしまったことは否めない。
『花燃ゆ』低視聴率の原因のひとつは、複数の脚本家が執筆したことでキャラクターやエピソードの印象が散漫になり、物語の核となる部分を描き切れなかったことだと言われている。来春の『エール』は9月中旬にクランクインしており、撮影済みの詳細については明らかにされていないが、仮に序盤は林氏の脚本のままだとすると、この交代劇によってキャラクターや物語の整合性、役者たちの役作りなど、少なからず影響は出てきそうだ。
同日には、来年1月期の天海祐希(52)主演ドラマ『トップナイフ~天才脳外科医の条件』(日本テレビ系)の脚本を林氏が担当することも明らかになった。NHKは交代の理由について「制作上の都合」としているが、一部報道によれば、林氏とNHKの演出担当スタッフが方針の違いにより対立したことが原因だという。
演者にとっては、出鼻をくじかれてしまった今回の一件。しかし、思わぬかたちでバトンを渡された脚本家たちも『リバース』(17年、TBS)や『わたし、定時で帰ります。』(19年、TBS)などを手掛けた清水氏を筆頭に、期待の実力派であることは間違いない。
人々の心を音楽の力で勇気づけようと多数の名曲を生み出した大作曲家・古関裕而さんの人生を描く『エール』。モデルとしては申し分なく、魅力的な作品になるかどうかは制作陣の頑張りにかかっている。毎朝視聴者の心にエールを送る“会心の一作”となることを期待したい。