日本の伝説に登場するネズミのテーマパーク「鼠浄土」 (2/2ページ)
その世界に関しては幾つか興味深い伝承がある。『郷土研究3巻7号 国々の言い習はし(10)』(逸木盛照 郷土研究社 1915年)によると、夜に畳の上で手毬をつくとネズミが怒って荒れるとされた。
また、『伝承5号 私は鼠におされている』(村田正夫 山陰民俗学会 S35年9月1日)によると、昭和25年3月下旬午前8時頃、寝ていた人物が何者かに足を踏まれた。死に誘われたような気がした。このような現象を「ネズミにおされる」というようだ。つまり、ネズミの世界は地下にあり、その世界は死の世界に近いという。
なお、南方では『鼠浄土』は海上、或いは海の向こうにあるという概念もあるようだ。奄美大島では、ネズミは神様の一種として解釈されており、ニライカナイという海の向こうにある世界からやってきたテルコ神の使いだと言われている。
さらに『団子浄土』は、人間が接触する異界の住民が、ネズミから鬼に代わるバージョンがあり、こうなると『瘤取り爺さん』に話が変容する。
このように我々は、人間の生活に縁の深い動物・ネズミに、“招福的役割”、“神の使い”という設定を課し、ネズミの穴を見ることで、“異界への通路”を連想した。そして、ネズミたちが暮らす国を“海の向こうのニライカナイ”、“地下の世界”と夢想し、その世界に行き、幸せになることを妄想したのだ。
(山口敏太郎)