評価は一瞬で決まる。裕福そうに見える服はその人を有能に見せる効果(米研究)
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今目の前にいる人物はきっとデキる人に違いない――あなたが受けた最初の印象は実は相手の服装によるものかもしれない。
アメリカ・プリンストン大学の研究グループは、様々な上着を着た人物の顔を見せ、その人の有能さを評価してもらうという実験を行った。
その結果、服がTシャツであれセーターであれ、高級そうで裕福に見える服装だと有能に見え、安っぽく貧乏そうに見える服装だと、有能に見えないと評価される傾向が明らかになった。この評価は一瞬で決まるそうで、長く見ていてもその評価は変わらないという。
・異なった服装をした顔写真を見せ、その印象を調査
実験では、まず参加者に50の写真を提示し、その人たちの服装から裕福に見えるか貧しそうに見えるか質問した。この評価に基づき、裕福そうに見える写真と貧乏そうに見える写真36枚(黒人18枚、白人18枚)を選び出した。尚、このとき、服装から受ける貧富の印象の差が極端なものにならないように、調整していった。
そして本番の実験では、参加者に研究の目的は他人の容姿がいかに評価されるのかを知ることと告げたうえで、どちらかといえば「裕福な服装」とどちらかといえば「貧乏な服装」の写真を提示し、その人がどのくらい有能そうに見えるか、1~9のスケールで評価してもらった。
・裕福そうに見える服を着ている人ほど有能と評価
この実験は9回行われ、それぞれに多少のバリエーションがつけられていた。たとえばフォーマルなスーツ姿をフォーマルではない服装にしたり、参加者に服装と有能さに関係はないと告げてから実験を行ってみたりした。
また参加者に顔写真の人物の職業や所得を教えてみたり、写真のペアを見せてどちらが有能か質問したりといったやり方もあった。
服装を無視するよう指示した実験もあった。服装を無視した場合の効果をいっそうはっきりさせるために、服装を見ず顔だけで判断したグループの評価に一番近い評価を下した人には賞金を与えると伝えて行われた実験もあった。
このように、さまざまなバリエーションを持たせて実験を繰り返したが、結果は常に一貫していた。裕福そうに見える服を着ている人ほど有能と評価されたのだ。

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・評価は一瞬で決まる。長く観察しようが無意味
写真が提示された時間は、1秒からほんの一瞬しか表示されない0.13秒までの3パターンあったが、有能さの評価はどの表示時間でも一貫していた。相手の能力に関する評価はほぼ一瞬で下されるし、時間をかけて観察してもらっても変わらなかった。
服装と能力に関係はないと告げても、服装を無視するよう頼んでも、無視したら賞金を与えると言っても、やはりこのバイアスが消えることはなかった。
職業や所得を教えても関係ないし、服装がフォーマルかそうでないかも関係ない。服装がにおわす経済的地位が、相手の能力の判断に強力に影響してしまっていたのだ。

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・服装のバイアスが持つ社会的な意味合い
このことが意味するのは、所得が低い人たちは、まず相手に与える印象の段階で不利な状況におかれているかもしれないということだ。
所得の低さは必ずしも本人の能力だけで決まるものではない。さまざまな事情から服装にそれほどお金をかけられない人たちもいるだろう。
そうした人たちは、自分が着ている服装のせいで、学校や職場あるいは面接といった場で不当に低い評価を受けている可能性がある。
しかしある程度余裕がある人にとっては、服装にお金をかけることで、他人に与える印象を多少なりともコントロールできるということでもある。
人を外見で判断してはいけないとよく言われるが、判断されるのが現実であるのなら、それを利用しない手はないだろう。
目は口ほどにものをいうというが、服装も口ほどにものをいうようだ。
この研究は『Nature Human Behaviour』(12月9日付)に発表された。
References:In a Split Second, Clothes Make the Man More Competent in the Eyes of Others/ written by hiroching / edited by parumo