孤立した単調な生活は脳を縮小させる。南極調査隊員の脳の調査で明らかに (2/3ページ)
BDNFには、新しい神経細胞の成長をうながす働きがあり、これがなければ海馬は新たに神経を結合することができない。
また滞在中、隊員は定期的にBDNFレベルと認知能力の検査を受け、さらに帰還後にも再びMRI検査を受けた。
こうした検査の結果から、14ヶ月の南極生活で、あろうことか隊員たちの海馬の体積とBDNFが減少してしまっていることが判明した。

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特に変化が目立ったのは、学習と記憶を司る海馬の「歯状回」という領域で、隊員8名で縮小が確認された。この領域は、記憶を記録するためにニューロン新生が活発に生じているところなのだが、隊員たちの歯状回は平均4~10パーセント小さくなっていた。
さらに歯状回の縮小が激しかった隊員ほど、出発前よりも空間処理や選択的注意といった認知能力が低下していることも確認された。
海馬以外では、左海馬傍回(left parahippocampal gyrus)、右背外側前頭前皮質(right dorsolateral prefrontal cortex)、左眼窩前頭皮質(left orbitofrontal cortex)といった大脳皮質のいくつかの部位で縮小が見られた。
またBDNFレベルは、滞在期間の4分の1が経過した頃にはすでに出発前の基準から減少しており、最終的には平均45パーセント少なくなっていた。
BDNFレベルの減少が大きいほど、歯状回の縮小も大きい傾向にあり、帰還してからも1ヶ月半はそのまま回復しなかったという。