節分でたまに見かける「鰯と柊の飾り」実は鬼を撃退する為のダブルトラップだった!

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節分でたまに見かける「鰯と柊の飾り」実は鬼を撃退する為のダブルトラップだった!

つい先ほど年が明けたと思ったら、早いもので1月も下旬。コンビニエンスストアに「恵方巻」の広告が出てくると、節分の訪れを感じる今日この頃。

節分と言えば、鬼を追い祓う豆まきや、最近では「恵方巻」が前面に出てきますが、地域によっては一風変わった門(かど)飾りを見かけることがあるかも知れません。

さりげなく飾られていたりする。

柊(ひいらぎ)の枝の先に、なぜか鰯(いわし)の頭が刺してある……あまりモダン&クールとは言い難いデザインですが、一体これは何なのでしょうか。

匂いと棘(とげ)で鬼を撃退!

これは「やいかがし(※1)」と言って、漢字では焼嗅と書きます。魔除けの一種で、鬼が嫌がる焼き魚の腥(なまぐさ)い匂いで目を滲ませ、それでも近づいてくる鬼は、その目に柊の棘(とげ)が刺さるという二重のトラップ。

それを門口に飾る(仕掛ける)ことで、鬼が家に入って来られないようにしている訳です。地域によっては逆に「鰯の腥さで鬼をおびき寄せて、柊の棘で目を刺す」という伝承もあるようですが、そもそも鬼が来ない方がいいと思います。

「これは堪らん」焼嗅に恐れをなして、逃げだす鬼たち(イメージ)。

余談ながら、この「かがし(嗅)」は田畑によく立てられる「案山子(かかし)」の語源でもあり、肉の焼ける匂い(※2)は多くの生き物を本能的に警戒・忌避させる効果が古くから知られていたようです。

(※1)他にも、やきかがし、やっかがし、やきさし(焼刺)、やいくさし(焼串刺)など。
(※2)焼き肉の匂いを美味しそう=好ましいものと考える生き物は、基本的に人間だけです。

終わりに

また、関西では頭を調達するために鰯料理を食べる「節分鰯」の習慣や、関東では豆殻(※3)も一緒に飾るなど、地域によって様々なバリエーションがあるようで、こうした違いにも日本の多彩な文化を感じることができます。

簡単に作れるので、是非お試しを。

近ごろは匂いに敏感な方が多いためかあまり見かけませんが、たまには鰯を焼いて柊と一緒に飾り、昔の人がどのように立春を迎えたのか、思いを馳せてみるのも一興でしょう。

(※3)大豆を収穫した後の枝葉。「鬼打ち豆の支度は万全だぞ=覚悟しろ」という鬼たちへのメッセージなのでしょうか。

※参考文献:
白洲信哉『白洲家としきたり』小学館101ビジュアル新書、2010年12月
飯倉晴武『日本人のしきたり 正月行事、豆まき、大安吉日、厄年…に込められた知恵』青春出版社、2003年10月

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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