〈企業・経済深層レポート〉 23年ぶり社長交代が意図する巨大流通グループ「イオン」の経営戦略 (2/2ページ)
2部門の合計利益は1264億円となり、GMSとSMの併せた営業利益(367億円)を上回る。
それならイオンはスーパーより金融や不動産部門を伸ばせば結果オーライとも思えるが、事はそう簡単にはいかない。
「金融部門の伸びは、スーパーの顧客が使用するATMの手数料、クレジットカード払いによって成り立っています。不動産部門の伸びもイオンモールに入る多数のテナント賃貸料がメインです。スーパーが核にならないと不動産も金融も立ち行かないのです」(前出・流通業界関係者)
イオンの経営環境をよくするにはやはりGMS、SMの活性化が必須というわけだ。
ゆえに、不安材料がある。米国ではすでにアマゾンなどのネット通販に対抗できず、老舗百貨店の経営破綻やショッピングモールの空洞化が起きているのだ。
「世界的金融機関クレディ・スイスが衝撃の予測をしている。米国内には’17年時点でショッピングモールが11万6000店あったが、このうち25%が’22年までには閉店に追い込まれるという。その波が近いうちに日本に波及してくるのは必至です」(外資系コンサルタント)
イオンも、そうした事態を予測しているため、ネット通販などEC(電子商取引)部門の事業拡大を急ピッチで進めている。
「このEC事業を重要視しているのが吉田氏です。昨年、吉田氏はイギリスのネットスーパーを運営する『オカド』と提携。’21年までに5000億円を投資して、’30年にはネット通販で6000億円の売上を目指しています。また、吉田氏は実店舗がある強みを活かして、アマゾンなどのネット通販に対抗していくことも考えているようです。吉田氏の社長就任は、イオンがEC部門を強くするための経営戦略でもあるのです」(前出・流通業界関係者)
一方で、今回の社長交代には別の目的があるともいう。
「36歳になる息子の尚也氏を、将来的には社長にさせるための戦略ともうわさされています」(財界関係者)
尚也氏は外資系金融機関を経て、’15年にイオンに入社。現在、フランス発祥のオーガニック食品を扱うグループ内スーパー「ビオセボン・ジャポン」の社長をしている。
「元也氏は社長就任時、卓也氏からの世襲と批判されました。そこで一旦、吉田氏を社長に就任させることで世襲感を薄めようとしているのかもしれません」(同)
どちらにせよ、イオンからしばらく目が離せそうにない。