AIで脳波を調べることで、個々にあった適切なうつ病の治療が行える可能性(米研究)

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AIで脳波を調べることで、個々にあった適切なうつ病の治療が行える可能性(米研究)
AIで脳波を調べることで、個々にあった適切なうつ病の治療が行える可能性(米研究)


 平成25年に厚生労働省が行った調査によると、うつ病の有病率は6.7%であり、15人に1人が生涯に1度はうつ病にかかる可能性があると報告されている。

 年々その数は増加傾向にあるが、これは、うつ病が増えたのか、その判断基準が変わったのか、病院に行く患者が増えたことによるのもなのかは正確にはわかっていない。

 だが、患者数が増えることで、その患者個人に合ったうつ病治療を行うための開発が進んでいるのは事実だ。

 うつ病(大うつ病障害)を抱える300人以上を対象にした研究から、AI(人工知能)で脳波パターンを調べることで、抗うつ剤の効き目がいいか悪いかを予測できることがわかったという。
・AIを使った脳波診断で薬が効くかどうかがわかる

 「今、もっとも頭を悩ませていることのひとつは、うつ病患者ひとりひとりに合った最適な治療法の選択肢が限られてしまっているということです」スタンフォード大学、精神医学教授のアミット・エトキンは言う。「基本的に、試行錯誤の末、薬物療法を選択しているにすぎないのです」

 エトキンは、スタンフォード大がバックアップして創設されたアルト・ニューロサイエンス社のCEOでもある。この会社では、コンピューターを使って精神疾患の診断や治療の選択をするための開発している。

 AI(人工知能)を使って、うつだと診断された300人以上の患者の脳波パターンを分析し、抗うつ剤セルトラリン(商品名ゾロフト、ジェイゾロフト)で治療を始めたとき、同じ患者の脳波がどう変化するかを調べた。

 その結果、ある電気活動を見ることで、患者の改善状況が予測可能なことがわかった。「その電気活動、つまり脳波パターンの数値が特に高く出た場合、その患者には、セルトラリンが効いていることになるため、この薬の治療を勧めることになります」エトキンは言う。

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Liia Galimzianova/iStock

・個々に合ったうつ病の治療を選択できる

 さらに、セルトラリンを摂取してもあまり効果が出ない患者の場合は、経頭蓋磁気刺激(TMS)という薬を使わない治療のほうがいい結果が出る傾向がある。

 こうした結果からは、うつ病の治療を試行錯誤頼みにしなくてはならない時間が節約できると言える。

 「その患者の脳が抗うつ剤にどんな反応を示すかを見極めることで、薬での治療のほうが効果的なのかどうかを判断することができます」

 ほとんどの精神科医や心理学者は、すでに脳波データを集めるのに必要なEEG(脳波検査)装置はもっているが、そのデータを分析のためにコンピューターにアップロードする必要がある。

 「こうしたことは、どのクリニックでも迅速に簡単にできて、患者が帰るときには、もう結果がわかっているようにならなくてはいけません」とエトキン。


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Oleg Elkov/iStock

・期待されるAIによるうつ病治療

 「これで、確実に一歩前に進めることになります」と言うのは、米国国立精神保健研究
所のコンピューター精神医学、神経科学プログラムの専門家ミシェル・フェランテだ。

 いつかはそうなると、フェランテは言う。「これは、この分野で最初の将来性のある取り組みなのは明らかです」

 この研究は、うつ病患者それぞれにとっての最善の治療法を選択する方法について、研究者たちの理解がやっと進んできたことを示すものだとフェランテは考えている。「我々は確実にその方向に進んでいるのです」

 次のステップでは、脳波パターンによって決定された治療で、うつ病患者の症状が本当に改善する可能性が高くなるのかがわかるだろう。さらに、将来の研究では、複数の抗うつ剤で試してみる必要がある。

「わたしたちが欲しいのは、さまざまな治療を識別できるモデルなのです」フェランテは言う。

 この研究結果は、『Nature Biotechnology』誌に発表された。

References:npr./ written by konohazuku / edited by parumo
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