バッタの襲来に備えて、中国が10万羽の「アヒル軍」をパキスタンに派遣するというニュースは本当なのか?(中国)
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去年1月から東アフリカを飛び立ったサバクトビバッタは、中東、インド、パキスタンに既に甚大な被害をもたらし、次は中国の農作物を食べ尽くすために大群で襲来する可能性があるという。
そこで中国政府は、水際でバッタの襲来を止めるため、駆除専門家チームを結成してパキスタンに送り込み、更に10万羽のアヒル(Ducksなのでアヒルかカモ)軍をパキスタンに派遣して蝗害(こうがい)に備えるというニュースが、海外メディア各紙で報道された。
だがどうやら、アヒル軍のパキスタンへの派遣はなさそうだ。
・記録的な大雨によりバッタが大量繁殖したのは事実
サバクトビバッタは、体長5cmほどの黄緑っぽい色をしており、短期間で繁殖し、1日150kmほどの距離を移動する特徴を持つとされる。

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そのサバクトビバッタが、去年1月に東アフリカのケニアやエチオピア、ソマリアで大量発生し、食糧危機を引き起こすほどの大被害を与えたことから、今年2月にはソマリアで国家非常事態宣言が出されるまでになっている。
その後、バッタは中東、インド、パキスタンへと大群で移動。FAOによると、中東の記録的な大雨により、オマーンの砂漠で更に大繁殖したという。

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この先も多くの降水によりバッタの繁殖は加速すると予測されており、4月には4000億匹近くにまで数が膨れ上がって中国へ襲来する可能性があることから、FAOは中国当局に警告と対策を促した。
・パキスタンにアヒル軍を派遣してバッタの襲来を阻止!?
中国は、過去にもバッタ襲来によって大きな被害がもたらされており、「蝗害(こうがい)」と呼ばれる大天災として歴史上古くから数多く記録されている。
新しいところでは、2000年にバッタ対策として新疆ウイグル自治区で「アヒル軍」の配備が講じられた。
"Duck troops" gather at the border to face locust swarms pic.twitter.com/1J4r3dmmJk
— CGTN (@CGTNOfficial) February 19, 2020
中国に隣接するパキスタンでは深刻な被害がもたらされており、今回のバッタによる被害は過去20年で最も大きいと伝えられている。
中国当局では、過去の例もあることから、バッタは中国の食糧安全保障に対する脅威とみている。そのため、隣接するパキスタンからの侵入を防ぐことが何より重要としているのだ。
そこで、浙江省にある農業科学学院の主任研究員Lu Lizhi氏が、10万羽の水鳥(アヒル)軍が前線(パキスタン)へ派遣される予定であることを発表したと伝えられた。
Lu氏は、このように述べている。
アヒルは、「生物兵器」となります。というのも、1羽のアヒルは1日に200匹のバッタを食べるからです。
ニワトリはアヒルと比べても1日あたり70匹ほどしか食べません。アヒルは集団行動が好きなのでニワトリよりも管理しやすく、農薬よりも効果的なのです。
Lu氏いわく、このプロジェクトは中国の専門家らがパキスタンに派遣され、状況を精査したうえで、蝗害に対する大流行を阻止するために執り行われることになるという。
・実際にはアヒル軍の派遣はないとする専門家
しかし、アヒル軍のパキスタンへの派遣はありえないという。駆除専門家チームの一員で中国農業大学の教授であるチャン・ロング氏は、「水が必要なアヒルにとって、パキスタンの砂漠地帯は非常に気温が高く、活躍することができない」と語る。バッタの駆除には化学農薬または生物農薬の使用を勧めているという。

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また、中国では、過去に大天災と呼ばれた蝗害を引き起こしたバッタは、今回のものとは異種と発表している。
一部メディアによると当局のバッタへのモニタリングや早期警戒、対策能力は近年向上していることからも、サバクトビバッタが中国に襲来しても危害をもたらす可能性は低いと報じているものの、「前例にない規模」のバッタの襲来は、何らかの対策を取らなければならないこととなるだろう。
References:futurism / UNILADなど / written by Scarlet / edited by parumo