南極の雪が血の色に染まるという怪現象が観測される

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南極の雪が血の色に染まるという怪現象が観測される
南極の雪が血の色に染まるという怪現象が観測される


 南半球にある南極は今、夏だ。なにせ観測史上最高の気温が観測され、氷河はどかどかと解けている。シーモア島に至っては、2020年2月13日、20.75度となり、もはや極寒の地とはいいがたい南極では、更なる怪現象が起きている。

 ここ数週間、血の色に染まった雪が観測されているそうだ。

 南極半島の北西、ガリンデズ島にあるウクライナの観測基地「ベルナツキー基地」の周辺は、研究者たちが「ラズベリー・スノー」と呼ぶ雪に覆われている。

 真っ白な雪にラズベリーソースなら美味しそうにも思えるが、実際の様子は雪の汚れと相まって、どこか血液を思わせる不気味なものだ。
・なぜ雪が血のような赤色に染まるのか?

 雪が赤く染まる原因は氷雪藻(ひょうせつそう)によるものだ。

 氷雪藻は極圏や高山帯の雪や氷上に生育する低温耐性の藻類で、冷たい水の中で繁殖し、冬になると雪や氷の中でじっと眠るように過ごす。やがて夏が訪れて雪が解けると、再び目を覚まして広まり、雪を赤や緑や黄色で染める。

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 氷雪藻が雪や氷の色を染め上げる現象を「彩雪」や「雪の華」というが、すでに紀元前3世紀には知られており、古代ギリシアの哲学者アリストテレスの『動物誌』の中で言及されている。また、スイカの匂いがすることから、「スイカ雪」と呼ばれることもある。

 赤い色は、葉緑体に含まれる「カロテノイド」という色素によるもの。これはニンジンやカボチャ、あるいはフラミンゴやロブスターの色のもとになっている色素でもある。

 この色素は熱を吸収し、紫外線から守ってくれるために、氷雪藻は夏の日差しを浴びても、遺伝子の突然変異を心配することなく光合成を行うことができる。

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・南極の氷を解かす負のループ

 この特徴はしかし、氷雪藻にとっては都合が好いものの、南極の氷には歓迎されないだろう。

 ウクライナの研究者によると、大量に広まった氷雪藻は、氷を温め、氷が解け、それでさらに氷が温まるという負のループを引き起こすのだそうだ。

 「雪の華は、温暖化をうながす。――赤くなった雪は、日光をあまり反射しなくなり、そのために速く解けるようになる。その結果として、さらに明るい氷雪藻が増える」と、研究グループはフェイスブックに投稿している。

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 似たような負のループは、世界各地の海でも観測されている。

 たとえば、スペインではある街が海から押し寄せた石鹸の泡のようなものによって覆われ、中国の沿岸部では生物発光による"青い涙”が観測された。

 赤く染まった雪は大昔から知られているが、暖かくなった現代では氷雪藻がいっそう繁殖しようとしている。温暖化が進む今、おそらく似たような現象を今後も見聞きすることになるだろう。


References:Міністерство освіти і науки України / zmescience/ written by hiroching / edited by parumo
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