チェーンソーは18世紀、難産の手術道具として開発されたという説
kirza/iStock
チェーンソーと聞くと、映画『13日の金曜日』に登場するジェイソンの武器というイメージがあるが、実はジェイソンがチェーンソーを使って殺人を行った事は一度も無い。逆に2作目でヒロインにチェーンソーで襲われていたくらいだ。
というジェイソンネタは置いておくことにして、18世紀後半のスコットランドで、困難な出産を助けるため、今のチェーンソーの原型となる医療器具を使って赤ちゃんをとりあげようとする試みがあったという。
・医療器具として開発されたチェーンソー
DIY店で見かけるチェーンソー(電動切断工具)の登場には、実はこんな裏話がある。18世紀、ふたりのスコットランド人外科医、ジョン・エイトケンとジェームズ・ジェフリーが、難産の解決法として、新たな手段を考案した。
ひっかかっている赤ん坊を助け出すため、軟骨や骨を切り開いて母体の骨盤領域を広げるのに、ナイフよりも簡単に切断作業が進むチェンソーを開発したのだ。
想像しただけで血の気が引きそうだが、彼らは実際に、こうした処置が必要な妊婦が耐えなければならない苦痛をなるべく軽減させようと奮闘していた。
ナイフでは時間がかかってしまって苦痛が長引くが、チェーンにノコギリの「歯」がついた、彼らの改造ナイフを使えば、素早く骨や組織を切り開くことができた。

public domain
あくまでもそのときの状況が許せばということだが、医師は両端にハンドルのついたノコギリをつかみ、骨盤の骨にチェーンを巻きつけて、それぞれのハンドルを引っ張る。
すると、チェーンが骨を切っていくという仕組みだった。のちにこの道具には、手で回すクランクが取りつけられた。この新開発のおかげで、難産は延々と続く拷問ではなく、ただの苦しみになったと言われた。
この処置は、恥骨結合切開術と名づけられ、四肢の切断といった場面でも効果的に行えることが外科医によって認識されて、医療分野で使われ続けた。
帝王切開が主流になるまでは、このチェンソーは外科道具の一部として必需品となり、19世紀の大半、ブームは続いた。

viafilms
・20世紀、チェーンソーは伐採などに使用されるように
20世紀になると、この原理は伐採などの目的のために使用されるようになった。それぞれ重さ45キロを越えるふたり用のノコギリなども登場した。1950年までには、これはもっと軽いモデルにとってかわられた。
チェーンソーの起源は諸説ある。今回登場した2人のスコットランド医師により出産補助として開発されたという説もあるし、1830年代にドイツの整形外科医ベルンハルト・ハイネが開発したという説もある。
いずれにせよ、19世紀のほとんどの間、チェーンソーは有用な手術器具として使用されていたようだ。こうした歴史のおかげで、今日のチェーンソーは外科病棟から遠ざけられ、物を切断するのに大いに役に立っている。
References:wikimedia / popsci./ written by konohazuku / edited by parumo