第1回 蘭玲(37) ★ちょんの間嬢だった過去を夫以外、誰も知らない (2/2ページ)

週刊実話



「彼は、何度も私のところに遊びに来てくれたお客さんだったんです。横浜から新大久保まで送ってくれたりして、優しい人だと思いました。それと、その頃に黄金町が摘発に遭ったんです。働く場所がなくなったんですが、夫はしっかり仕事をしていてお金持ちだったから、この人と結婚してもいいなと思ったんです」

 結婚してからは、パートもせず、専業主婦として暮らしている蘭玲。現在、夫との間に小学校2年生になる娘にも恵まれ、日々の生活に何の不満もないという。

「家の近くには、中国人の友達もいるので、会いたい時にいつでも会えます。夫は、帰りたい時にいつでも中国に帰っていいと言ってくれていて、自由に生活させてくれるんです」

 蘭玲の夫は自営業者で、年収は1500万円ほどあるという。自由に使えるクレジットカードを与えられており、そのおかげで蘭玲は年に3回は故郷に帰り、しかも子供の夏休みや冬休みに関係なく1カ月以上も滞在する。日本の一般的な夫婦関係からすれば、変わっているように思われるが、中国人の彼女はこれを当たり前だと思っていて、日本のスタイルに合わせるつもりは毛頭ないという。

 まさに、誰もが羨む悠々自適の生活を手に入れた蘭玲。しかし、現在も交流のある人々の中に、彼女の過去を知る者は夫以外いない。両親や今の友達にも一切話しておらず、当時、働いていた時も、なるべく同郷の女性とは仲良くせず、上海以外の出身者と付き合っていたという。当時の仲間はどこへ消えたのだろうか。

「日本に残っているのは、私だけですよ。みんな中国に帰っちゃいました。私は全部お金を使っちゃったけど、他の人は一生懸命貯金していましたよ。北京出身の子は、2000万円ぐらい貯めて、北京でラーメン屋をやっています。他には、日本語学校の先生をしている人もいます。みんな日本で頑張って働いて、中国で何かビジネスをしようと考えていたんです」

 そんな仲間との交流は、今も続いている。

「中国に帰った時は、必ず会いますよ。もう20年近く経ちましたから、懐かしくなるんです。また売春をやりたいとは思わないけど、お金をいっぱい稼いだのは、いい思い出です」

 年に何度か中国で開かれる、元娼婦たちの同窓会。そんな彼女の姿を見ていると、もちろん過去は消しているものの、あまり後ろめたさを持ち合わせていないような気がする。そんな時代があったねと、あくまでもさっぱりしているのだ。

 エイズなど性病のリスクもある娼婦として生きたことにより、今の暮らしを手に入れた蘭玲。彼女がどこまでそう意識していたかは定かではないが、売春はあくまでも人生を切り開くひとつの手段だった。人生は結果オーライ。そう考えれば彼女の態度にも納得がいくのだった。
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