伊藤健太郎、地味朝ドラ『スカーレット』を救った急成長演技

日刊大衆

伊藤健太郎、地味朝ドラ『スカーレット』を救った急成長演技

 連続テレビ小説スカーレット』(NHK)が、いよいよ最終回を迎える。これまで平均視聴率は20%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)を下回ることが多く、全話の平均は18%から19%台に落ち着きそうだ。近年の朝ドラ平均視聴率は20%以上が続いていただけに、これは少し残念な数字。また、ネットのニュースを見ると、「地味」という言葉がよく見られた作品でもあった。

 思えば広瀬すず(21)が主演を務めた前作の『なつぞら』は、朝ドラ100作目ということで松嶋菜々子(46)ら過去作のヒロインを続々起用し、吉沢亮(26)などの注目イケメンが華を添える豪華キャストだった。日本アニメ草創期の話で物語に派手さもあっただけに、30代に入って演技派のイメージが強くなった戸田恵梨香(31)が女性陶芸家を演じた『スカーレット』が、地味と受け止められてしまったのもしょうがない。

 しかしこの『スカーレット』は、実はなかなかの良作だったのではないかと思う。実際、SNSでは「演技で言ったらスカーレットに勝てる作品はないと思う」「普通の人間の日常を細やかにていねいに描いて視聴者と一緒に泣き笑い、毎日を過ごしているドラマ」と、視聴者の満足度はかなり高かった。

 ヒロイン喜美子の10代から40代までを見事に演じきった戸田恵梨香はもちろん良い芝居をしたが、『スカーレット』の視聴者満足度を飛躍的に高めたのは、むしろ準主役の2人だ。

 まずは喜美子の夫、八郎役でブレイクした松下洸平(33)だ。ツイッターには八郎を愛でる“八郎沼”というハッシュタグまで出現した。登場した頃は頼りないヤサ男。喜美子と恋をし、強い男の一面も見せるようになるも、じょじょに喜美子の才能に嫉妬するようになるなど、心の揺れ動きはヒロインの喜美子以上だったが、松下はこの八郎を見事に生き抜いた。

 実は平均視聴率が一番下がったのが、八郎と喜美子の関係に陰りが見え出した14週から15週だ。2人のギスギスしたやりとりを見ていられない、という視聴者が続出したのだ。戸田とともに、思わず感情移入してしまうリアルな夫婦像を作りあげた松下の功績は、大きいだろう。

 そして、一度は落ち込んだ視聴率を回復させたのが、喜美子の息子、武志を演じた伊藤健太郎(22)だ。近年は『アシガール』(NHK)の若君、忠清や『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の伊藤真司と当たり役が続いたが、武志役でまた1つ、役者としての階段をのぼった。

■2月以降は視聴率も安定

 武志が高校生だった頃のみずみずしい演技はこれまでの伊藤健太郎ファンを喜ばせたが、白血病にかかってからは、今まであまり見られなかったせつない演技を連発。感情を押し殺したかと思うと、ときに爆発させ、さらに涙も流し、視聴者の心をわしづかみにした。

 また、病気にかかってから少しずつ痩せるなど、武志になりきった伊藤健太郎の役作りはお見事。彼の好演もあり、2月以降は視聴率20%以上を記録する日も増えた。ツイッターには「武志、ずっと元気でいてほしい」と応援する言葉が踊っていたが、ドラマ終盤は主役の戸田恵梨香を食うほどの存在感を見せていたので、それも当然だろう。

 地味といわれた『スカーレット』だが、この2人の活躍も大きく、満足度は抜群に高かった。たった15分のうちに泣いて笑ってが詰められた本作は、数年後にもふと思い出すような、名作だったといえるだろう。確かに話題性は低く視聴率は伸び悩んだが、ファンにとってこの地味さは朝ドラの原点回帰といえる、心地よい地味さだったのだ。(朝ドラ批評家・半澤則吉)

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