戦国「10大奇襲」秘聞(終)武田信玄が“ボロ負けした戦” (2/2ページ)
信玄は村上氏の拠点の一つ、戸石(といし)城を攻めますが、崖の上に建てられた堅牢な城でした。ちょうどその頃、義清は武田側についた高梨政頼と戦っていたので、ここがチャンスとばかりに信玄は戸石城を包囲しますが、実はこれがワナ。義清は高梨氏が武田についたと思わせて、信玄を戸石城におびき寄せたのです。そして義清と高梨氏は連合して戸石城を囲む武田軍を奇襲、すると城兵も戸石城から一気に下りてきて、武田軍は総崩れ。信玄は甲冑や武器を捨てて逃げ、これまでにない大敗北を喫します。この敗北のあと、信玄は慎重になり、綿密な戦略を立て、裏工作もするようになるのです」(河合氏)
これまで見てきたように、戦国時代は奇襲、抜け駆け、寝返り、裏切り、だましだまされ、離間の計は当たり前。戦いの記録や物語は「勝者」の都合のいいように書き換えられ、庶民受けする物語として流布していく。現代のビジネスシーンや政治の世界においても、日産ゴーン事件を持ち出すまでもなく、裏切り、造反は、日々繰り返される。
長きにわたり、謀反人として汚名を着せられてきた明智光秀だが、令和の世相を反映しながら、「麒麟がくる」ではどのように上書きされるのか、楽しみでもある。
河合敦(かわい・あつし)1965年、東京都生まれ。早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学(日本史専攻)。多摩大学客員教授。早稲田大学非常勤講師。歴史作家・歴史研究家として数多くの著作を刊行。テレビ出演も多数。主な著書:『早わかり日本史』(日本実業出版社)、『大久保利通』(小社)、『日本史は逆から学べ《江戸・戦国編》』(光文社知恵の森文庫)など。
房野史典(ぼうの・ふみのり)1980年、岡山県生まれ。名古屋学院大学卒業。お笑いコンビ「ブロードキャスト!!」のツッコミ担当。無類の戦国武将好きで、歴史好き芸人ユニット「六文ジャー」を結成し、歴史活動も積極的に行う。著書に『超現代語訳戦国時代』『超現代語訳幕末物語』(ともに幻冬舎文庫)、『戦国武将の超絶カッコいい話』(王様文庫)がある。