『ペスト』だけじゃない 今だからこそ読んでおきたい「感染病小説」3つ (2/2ページ)
「旅行者」にとってはパラダイスであった美しい島も、隔離されれば「監獄」となる。
疫病の発生によって偶然に生まれた小社会を、感染流行が不気味に変えていく。島に乗客らを残して船が水平線に消えた時、恐怖や不安といった乗客たちの心情にある変化が。
■『コレラ時代の愛』(ガルシア=マルケス/1985年)
「コレラ」という名前がタイトルに入っているが、作中でコレラに感染した人々がパニックを起こしたり、社会が混乱するような描写はなく、コレラが明確に存在感を示すことはない。しかし、物語の背景に、人々の行動の「前提」として、コレラはしっかりとその爪痕を残している。
一人の女性を、彼女が少女だった頃から思い続け、彼女が結婚しても、彼女の夫が死んでも、自分が年老いてもなお諦めずに待ち続けた一人の男の一生を描いた作品。
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伝染病によって社会に何が起きるのか、「木を見て森を見ず」ではないが、事態の只中にいると、起きていることの全体像を把握するのは難しい。そんな時、疫病の流行を描いたフィクションの数々は、今私たちの社会で何が起きていて、どう振舞えばいいのかを考える際のひとつの道しるべになるのだろう。
(山田洋介/新刊JP編集部)