黄金時代を支えた「日活スター伝説」(1)浅丘ルリ子の「運命の人」 (2/2ページ)
ルリ子は『灰皿なんか投げたらアタシ帰っちゃうから!』『サヨナラッ!』とサッパリとした物言いで稽古を終えて帰るルリ子にもともとファンだった蜷川はシビレたそうです」
その小股の切れ上がった態度とすがすがしい物言いに蜷川が一層ゾッコンになったのは言うまでもないが、最近、中平氏もまた、浅丘の気っ風のよさを肌で感じたという。
「『旭とルリ子』が出来上がったので献本贈呈しました。するとほどなく、ある日の夕方、電話がかかってきたんです」
「もしもしあたくし」
「ルリちゃんでしょッ」
「この本が出たこと、非常にうれしいわ」
独特のハスキーボイスでそう告げられたという。
「感謝から始まって激励もされ、私が本の中で『最近は厚化粧』と書いたことを指摘されたので謝ると、さわやかな口調で『妹にも、お姉さんもっと薄化粧にしていいんじゃない? と言われるけれど、でもあたし、舞台をするようになってそうなったし、濃い化粧が好きなのよね』と」
そうした生身の浅丘と触れた中平氏は「吉永小百合(75)とは、何もかも正反対ですね」と指摘する。
60年代、青春映画のヒロイン役として日活に多くのファンを呼び寄せた功労者の一人である吉永。近年では揺るぎない国民的女優としての座を確立し、その存在感は神々しささえ漂う。
「本人はよく『プロじゃないんだ』と自嘲気味に自分を評していました。それはルリ子のプロ根性と自分との比較が念頭にあったのでは、と思うんです。それに私は以前、小百合の本を書こうと思っていたので、親交のあった彼女に打診すると『私が死んだら』とひと言。それでも11年に『小百合ちゃん』(講談社)を出版したんですけど、それから全く音沙汰なく、絶縁状態になってしまいました」
吉永と浅丘、懐の深さにおいても浅丘に軍配が上がるようだ。