日米で王者に君臨した女子ファイターは「時を待つ」(後編)

日刊大衆

浜崎朱加
浜崎朱加

バナー題字・イラスト/寺田克也

アメリカで開催される世界最大の女子総合格闘技大会INVICTAと、日本のRIZINの両方で王者となり、女子格闘界の頂点を極めた浜崎朱加。昨年大みそかのRIZINでは“宿命のライバル”ハム・ソヒの挑戦を受け、大激戦の末にスプリット判定で王座陥落したが、この試合は大会ベストバウトとの呼び声も高かった。現在、新型コロナの影響で格闘技大会も開催されず、ジムでの練習もままならぬ中、元王者・浜崎はどんな日々を送っているのか? 直撃電話取材を試みた。

 前編では新型コロナウイルスの影響で自粛を強いられる日常と、昨年末に行われた試合について聞いた。後編は、ハム・ソヒとの再戦への思いと、新型コロナウイルスの影響で自粛を余儀なくされる今の気持ちについて。

――しばらく大会がないですが、コロナが終息して格闘技イベントが再開されるようになったら、ハム選手にリベンジしたい?

「年内に……できれば、ですけど。ダイレクト・リマッチ(直後の再戦)は難しいにしても、何回か勝っていって、段階を踏んで、その位置まで行けたら、タイトルマッチをさせてもらえればいいな、と思います」

――アメリカの大会、たとえばUFCの男子部門なんかだと、現王者と前王者がダイレクト・リマッチというケースも、わりとありますけどね。

「あ、そうなんですね? けっこうあるんですか?」

――ええ。たとえば12年2月のUFC日本大会でベンソン・ヘンダーソンがライト級王者フランキー・エドガーから王座を奪った後、半年後の8月にダイレクト・リマッチしてます(*ヘンダーソンが防衛)。

「あっ、そうなんだ! それは、なんでですか? 拮抗してるから?」

――そうですね。すごく拮抗した大激戦だったし、「もう1回やったらどうなるんだろう?」というファンからの声も多かったんですよ。

「そうなんだ……」

――だからファンが望み、選手同士も望めば実現するケースはけっこうあります。だから、浜崎さんもRIZINの榊原(信行)社長に直訴すれば、認められる可能性は高いんじゃないでしょうか。ハム選手に負けるまでは5連勝してましたし、RIZIN女子スーパーアトム級王座も、元INVICTAアトム級王者のジン・ユウ・フライを相手に防衛に成功してたわけですから、十分ダイレクト・リマッチを要求する資格はあるでしょう。

「なるほど! じゃあ、ダイレクトでやれたらいいですね!(笑)。ダイレクトじゃないとしても、年内にやりたいなとは思います」

“極め”の強さは浜崎の最大の武器 “極め”の強さは浜崎の最大の武器

■一本勝ちのリベンジを目指す!

――ハム選手へのリベンジのためには、いかにサブミッションに持っていくか、という戦略を練る?

「う~ん……まあ、打撃でも負ける感じはしなかったので。何発かはもらいましたけど、こっちの(パンチの)ほうが入ってたし」

――たしかに1Rには強烈な右のジャブを何発も叩き込んだし、左ストレート、右フックも入れてましたね。

「はい。でも2Rに、別に倒そうと思ったタイミングで倒したわけじゃなくて、うまくタイミングが合って、コテッて倒れたところを、『パウンドでフィニッシュしたらカッコいいかな』とか、色気づいちゃって(苦笑)。で、突っ込んでいったら、下からの三角(締め)の体勢にハマったんで。次はもう少し冷静に戦おう、と思いましたね」

――軍隊格闘技の教官がこんな意味のことを言ってました。「相手に自分の攻撃が入った時に、喜んではいけない」。「舞い上がっちゃいけない」と。相手がたとえダウンしても、「じゃあ、この後、どうすれば安全かつ確実に仕留められるか」というのを考えろ、と。

「ホント、それ! 身に沁みますね。油断、じゃないですけど、隙(すき)ですね、きっと。私も、前回の試合は教訓になりました」

――再戦が実現したら、今度で4度目の対戦ですけど、どんな試合になると思いますか?

「ハムちゃんと再戦して、きっちり一本勝ちでリベンジしたい……。次はね……仕留めたいですね。ウフフフフ」

――一本取りたい?

「一本取りたいですね~! こないだの試合ではKOしたくて。今までしたことないから、打撃にこだわっちゃった部分もあって。けっこう1Rでパンチが当たってたんで、イケるかな、と思っちゃって(苦笑)。次は、もっと、ちゃんと勝ちにいきたいですね」

――きっちり絞め落とすとか、関節技を決める?
「そうですね! できたら最高ですよね、リベンジでしっかり決められれば!」

「医療関係者や頑張ってくれてる人たちに勇気をもらってる。コロナ終息後、強くなった姿を見せて私も勇気を与えたい」

――今、コロナで世界中が大変な状況ですが、日々、どんなことを感じていますか。

「この大変な中で、医療関係者の方とか、スーパーやコンビニで働いてくれてる方とか、頑張ってくれてる人たちがたくさんいるんで、その姿を見て、本当に勇気をもらっています。きっと、『ホントは休みたい』って気持ちもあるだろうと思います。リスクはありますもんね、人と触れ合ったりするから。それでも、踏みとどまって、頑張ってくれている。

 今の私にできることって、そんなにないですけど、ともかく、できることだけでも続けて行って、コロナが終息したら、また強くなった姿を見せて、今度は私が人に勇気を与えられたらいいなと思います。今はこんな状況ですけど、弱くなった姿って見せたくないんで……やっぱり、できることをやっとかないとな、と思ってます」

――浜崎さんの試合を見て、力を貰う人はたくさんいると思うんですよ。

「う~ん……そうなってくれたらいいな、と思います」

――特に女性が見たら、「女の人でも、こんなに強くなれるんだ!」って感じると思うんですよ。

「次は、勝った姿を見せたいので。ここは、しっかり、次は勝たないとな、って思います。やっぱりリベンジマッチで勝った方が盛り上がるじゃないですか」

――そうですよね。

「だからねえ……。こないだの試合負けた時に、私よりも、チームメートや私を応援してくれてた人たちのほうが、悔しがってくれてたんですよ。『もう負ける姿は見せたくないな』と思いました、ホントに。めっちゃ、悔しがってくれてた人が多くて。ホントにすごく落ち込んでて。私自身よりも……。だからもう、負けた姿は見せたくないな、と思って」

――そういう応援してくれてる人たちのためにも、そして4匹のペットたちのためにも、早くコロナが終息して、試合ができるといいですね。

「はい。まあでも、焦らず。『時を待つ』って感じですかね。

――最後に、新型コロナの影響でいろんな思いを抱えている日本全国の皆さんへのメッセージを。

「わたしが言うのもなんですけど、焦ってもしょうがないんで、コロナが終息したら、会場で皆さんに早く会いたいし、しっかり勝つ姿を見てもらいたいと思ってます。日本もそうですが、今は世界で皆が頑張る時期なんで。私も頑張りたいと思います!」

しっかりマスクを付けて愛犬のお散歩に しっかりマスクを付けて愛犬のお散歩に

(取材・文=稲垣收)

浜崎朱加(はまさき あやか)
1982年山口県生まれ。総合格闘家。AACC所属。高校から柔道を始め、2009年プロデビュー。10年にJEWELS初代ライト級王者、15年に米Invicta FCアトム級で日本人初の世界王者となり2度防衛に成功。18年からRIZINに参戦し、同年大みそか、浅倉かんなに一本勝ちして初代RIZIN女子スーパーアトム級王者に。総合戦績19勝3敗。米の格闘技サイトSherdogの女子アトム級世界ランキング2位。
Twitter:@kk331ayaka Instagram:ayaka0331

稲垣 收(いながき しゅう)
1962年東京生まれ。語学月刊誌の編集を経て、89年よりフリーライターに。モスクワ・クーデター、ドイツ統一、ソ連崩壊、グルジアやユーゴ内戦、パレスチナ等を取材。92年から格闘技の取材も。「UFCー究極格闘技ー」(WOWOWで)では長らく解説を務めた。自らもキックボクシングなどさまざまな格闘技に親しむ“闘うジャーナリスト”。著書に『稲垣收の闘魂イングリッシュ旅行編』『男と女のLOVE×LOVE英会話』、訳書に『KGB格闘マニュアル』などがある。
Twitter:@ShuInagaki

「日米で王者に君臨した女子ファイターは「時を待つ」(後編)」のページです。デイリーニュースオンラインは、プロレスエンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る