エビの殻を利用して持続可能な次世代大容量電池を作り出す試み(米研究)

カラパイア

エビの殻を利用して持続可能な次世代大容量電池を作り出す試み(米研究)
エビの殻を利用して持続可能な次世代大容量電池を作り出す試み(米研究)

廃棄されるエビの殻で大容量電池を開発 / Pixabay

 今、身の回りでさまざまデバイスを動かしているのはリチウムイオン電池だが、再生可能エネルギーという観点から言えば、その強力な代替候補と目されているのが「レドックス・フロー電池」だ。

 そんな未来の電池の部品が、廃棄されるエビの殻から作る研究が行われているというのだから驚きだ。
・次世代の大容量電池、レドックス・フロー電池

 1974年にNASAによって基本原理が考案された「レドックス・フロー電池」は、比較的低コストで大容量化できるので、風力発電や太陽光発電のような発電量が一定ではない電気を貯蔵するものとして有望視されてきた。
 
 この電池の特徴は、巨大な外部タンクに満たした電解液に電気を保存することだ。つまり電極材に電気を貯めるリチウムイオン電池とは違い、タンクを大きくするだけで、簡単に蓄電容量を拡大できる。

 そのため、必ずしも電力需要に基づいて発電が行われるわけではない再生可能エネルギーを保存する電池として、非常に使い勝手がいいのである。

レドックス・フロー電池
レドックス・フロー電池 image credit:okia / wikimedia commons

・電極部分をエビの殻に含まれる「キチン」で代用

 すでに実用化されているレドックス・フロー電池は、電解質としてバナジウムを利用して、安定した充放電を実現している。

 このプロセスはバナジウムイオンの間を電子が通過することで起こるのだが、それをサポートしているのが「炭化ポリアクリロニトリル」という合成ポリマー製の電極だ。

 MIT(アメリカ)の研究者は、この電極の部分を、持続可能な自然素材を使って作り、しかも性能までアップすることはできないかと考えた。

 そして採用されたのが、食品用ラップや高性能ボディアーマーまで、さまざまなものに利用されている「キチン」というムコ多糖類だ。

 キチンは節足動物や甲殻類の外骨格の主成分でもある。エビの殻からレドックス・フロー電池の部品を作るとは、つまりそういうことだ。

エビ
エビ / Pixabay

・ピークパワーに優れ、低コストで、環境にも優しい

 廃棄されるエビの殻から抽出したキチンをフェルト電極に置き、バナジウム・レドックス・フロー電池の部品としての性能を試験してみると、最大100mW平方センチほどピークパワー密度に改善が見られたとのこと。

 性能の点でもすごいが、安価かつ持続可能な素材が利用されている点が素晴らしいと研究者は述べている。

 「性能が優れているだけでなく、廃棄物の再利用であることを考えると、原料が安価で、しかも電極の持続可能性を高められる点もメリットです」と、フランシスコ・マーティン=マルティネス氏は話す。

 この廃棄されるエビの殻から作られた電極は、エネルギー密度が非常に高いことから一部の電池に代替すると期待されている「スーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)」にも利用できるそうだ。

この研究は『ACS Sustainable Chemistry & Engineering』(4月28日付)に掲載された。
Exploration of Biomass-Derived Activated Carbons for Use in Vanadium Redox Flow Batteries | ACS Sustainable Chemistry & Engineering
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acssuschemeng.0c02427
References:newatlas/ written by hiroching / edited by parumo
「エビの殻を利用して持続可能な次世代大容量電池を作り出す試み(米研究)」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る