都市部からの情報や文化に侵される地方 消失しつつある地方の伝統 (1/3ページ)

心に残る家族葬

都市部からの情報や文化に侵される地方 消失しつつある地方の伝統

墓じまい、葬式離れ、無宗教葬と、葬儀の形式は大きな変化を迎えている。核家族化や無縁社会など、かつての家族の在り方そのものが変化しつつあるのは事実である。しかし、そうした変化のイメージは、都市部からの一方的な情報の流出によるものが大きいのではないだろうか。

■葬儀の形式が変化している

通夜や告別式を行なわない直葬という言葉が定着しつつある。散骨や自然葬も珍しい言葉ではなくなった。散骨はいかにもすべての生命の故郷である海に還るというイメージがあり好感を持つ人が多いだろう。また葬儀はするが僧侶は不要とする人もいる。理由としてはお布施などの経済的負担や葬儀における自由度などが挙げられる。特定の宗教色(この場合は仏教)を排除しても故人を悼む人たちの気持ちは変わらない。いかなる形式を選択しようとそれ自体は個人、遺族の自由である。しかし本当にそれだけだろうか。

■メディアによる都市型情報の洪水

このような表現が適切であるかはわからないが、ゆるやかな「文化大革命」が進行しているようにも思える。葬儀、法事、法要などの伝統的な儀礼文化には、慣習、しきたり、習わしといった要素に満ちている。そのような言葉には旧態依然とした響きがあり、ムラ社会、閉鎖的など、現代では良いイメージはほとんどない。対してこれを否定しようとする言動には進歩的で耳触りが良い響きがある。こうした脱伝統文化的な言動は主に都市部から地方へ流出するものである。進歩的、前衛的な思想というものは都市の空気の中で知識層の間で育まれるものであることがほとんどだからだ。そしてそうした空気は都市部よりメディアを通して地方に流れてくる。

メディアが伝える情報はテレビにせよ出版にせよ、基本的に都市部、特に東京中心・東京発信にものである。ある住職は「メディアは東京・都市部の傾向や問題意識を流しすぎていると指摘している。都市型のライフスタイルは必ずしも地方地域社会に一致するものではない」と述べ、都市型の問題意識が日本全国の地域社会にまで流用されていると指摘している(注)。

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