新興企業の財務リスクを見抜く 実践で役立つ決算書の読み解き方 (2/3ページ)
SaaS型のビジネスでは、事業が成熟期に入るまでは人件費や広告宣伝費、販促費等に資金をつぎ込みながら獲得し、売上高を伸ばす戦略をとるため、成長期には赤字になりやすい。現に、2019年にIPOを果たした86社のうち、15社が赤字上場だという。
だから、赤字だからといってその会社に倒産リスクがあるというわけではないのだが、もちろん中には「心配」な会社もある。これらをどう見分けていくのか。
まず、注目すべき項目は「営業によるキャッシュフロー(=会社が通常の事業活動をして稼いだお金。以下、営業CF)」と「現預金」、「資本余剰金」だ。
「キャッシュが尽きた時に企業は倒産する」を踏まえると、「営業CF」が赤字だったとしても、「現預金」や「資本余剰金」が潤沢にあれば、すぐに倒産するリスクは低く、今後しばらくは事業の成長のための投資を続けられる、と見ることができる。また、企業がかけたコストの内訳と、そのコストが業績にどう跳ね返っているかをチェックすることも、新興企業を評価するうえでは必須だ。
■粗利率に見るニトリ一人勝ちの理由決算書からは企業の「強さ」や「勝っている理由」もわかる。
たとえば家具大手の「ニトリ」は、島忠やナフコといった競合が伸び悩むなかでも業績を伸ばし続け、「一人勝ち」状態となっている。ニトリの強さは、決算書のどこにあらわれているのだろうか。
ニトリが競合企業と比較して明らかに優れているのが、損益計算書に記載される「粗利率」だ。島忠やナフコが30%~40%で推移している一方で、ニトリの粗利率は実に50%~60%にもなる。どうしてここまで違いが出るのか。
実は、ニトリは単純な「家具の大型小売店」ではない。商品となる家具の製造や物流、そして販売までをすべて自社で完結させているのだ。そして、製造は人件費の安いベトナムで行っている。これが高い粗利率の源である。商品を他社から仕入れ、他社に物流を委託している企業と比べると、コストが圧倒的に低いのだ。
では、競合他社もニトリのように、製造拠点を海外に移し、物流も自社でやればいいのでは、となるが。これが容易ではない。