夢枕獏が語る!アマビエだけじゃない「全国妖怪大図鑑」

日刊大衆

画像はイメージです
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陰陽師』(文春文庫)などの伝奇小説でおなじみの作家・夢枕獏氏によると、「日本人は世界的に見ても妖怪好き」だと言う。

「縄文人が持っていた、すべてのものに神や魂が宿るという感覚を受け継いでいるんでしょうね。西洋では妖怪に当たるものは、人形くらいしかないんですよ」

 では日本には、何種類の妖怪がいるのか? 『大迫力! 日本の妖怪大百科』(西東社)などの著作がある妖怪研究家の山口敏太郎氏によると、「1000種類ぐらい」いるとか。1県あたり20種類以上の計算だが、中には地元の人も知らない存在も。

「私の出身の徳島県には、水木しげる原作の『ゲゲゲの鬼太郎』で有名な子泣き爺がいるんですが、地元にいた頃は聞いたこともありませんでした(笑)」(前同)

 現在、子泣き爺発祥の地とされる徳島県三好市には石像が作られ、妖怪屋敷もオープンする人気という。

 一方、同じ『鬼太郎』の人気者に一反木綿がいるが、ご当地の鹿児島県では、人を絞め殺す妖怪として恐れられていたという。

「文明開化で埋もれてしまった妖怪話を現代に伝えたのは柳田國男などの民俗学者ですが、メジャーにしたのは水木しげる氏と言えますね」(同)

 そこで『週刊大衆』は、知ってるようで知らない全国各地の街々の妖怪を大調査した。まずはコロナ騒動で注目を集めた「アマビエ」から。アマビエが出没したのは江戸末期。肥後(熊本県)の海に夜ごと光るものが現れたため、土地の役人が調べることになったという。現地に行くと、体全体が毛におおわれ、腹はウロコ、顔は小鳥のようにかわいらしい妖怪に出会った。

「我は海に住むアマビエと申す。今後6年は豊作が続くが、同時に疫病もはやる。(これを防ぐには)私の姿を描いた絵を人々に見せよ」と告げたというのだ。

 この話がSNSなどで広まり、疫病を防ぐアマビエはシールや、ぬいぐるみといったグッズまで作られる全国区の妖怪になった。

 妖怪には怖いものもいるが、アマビエのように人の役に立つものも多い。大阪府堺市の白蔵主(寺や僧の吉凶を告げたり、盗難を防ぐ)や、群馬県中之条町に今も残る囀石(聞いた人のためになることをしゃべる)が、それだ。

「妖怪は、幽霊のように人に危害を加えるだけでなく、良いことをしたり、お茶目だったりするものが多いんですね。これもあって、日本では人気が衰えないのでしょう」(前出の山口氏)

■妖怪は地域住民の不安やストレスを緩和する精神安定剤

 また、妖怪は医学が未熟な時代に必要だったとか。

「足に絡みついて歩けなくさせる足まがり(香川県)は脚気のことで、山道で歩けなくさせる餓鬼憑き(神奈川県など)は低血糖や空腹。夜道で立ち塞がって前を見せなくさせる塗壁(福岡県遠賀郡)はビタミンA不足による夜盲症。こうした体の症状を、妖怪のせいにしたんでしょう」(同)

 餓鬼憑きには〈襲われたときは山頂の祠ほこらに食べ物を供える(食べる)べし〉という“処方箋”まである。

 夜になると出没する妖怪(京都市の鵺など)や河童の話は、あちこちにある。夜の妖怪には子どもを早く家に帰らせる、河童には深い川で遊ばせないという目的があったようだ。

「庶民も寺子屋などで学ぶ江戸時代になると、誰もが妖怪を信じていたわけではなかったと思います。妖怪は原因の分からない病気を説明したり、子どもを戒めるために便利だったのではないでしょうか」(同)

 また、見知らぬ者を妖怪に当てはめた節もある。

「船が難破して海岸にたどり着いた西洋人などです。彼らは肉を食べ、赤いワインを飲んだでしょう。でも、当時の日本人は肉を食べなかったし、ワインは血に見えた。おまけに言葉も通じない」(同)

 とはいえ、住民に危害を加えるわけではない。まさに“触らぬ神に祟りなし”だが……。
「そんな西洋人を鬼として扱ったのでは? 妖怪は地域住民の不安やストレスを緩和する精神安定剤でもありました」(同)

 人々の生活に密着していた妖怪たち。このほかの全国47都道府県に言い伝えられる妖怪は、現在発売中の『週刊大衆』8月24日・31日号に掲載している。

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