カナダ最後の無傷だった棚氷がついに崩壊、北極圏を熱波が襲う。
熱波によりカナダの棚氷が崩壊/iStock
カナダの北極圏にあたる地域は、過去11万5000年でも最高の暑さを経験しており、そこにある氷に甚大な影響が出ている。
8月3日、無傷だった最後の棚氷がついに崩壊してしまったと、カナダ海氷情報局(Canadian Ice Service)から発表された。棚氷はわずか2日間で面積の約43%を失ったとのことだ。
崩壊した「ミルン棚氷」は、ヌナブト準州エルズミア島の境界に存在した。7月29日の時点では190平方キロの面積だったミルン棚氷だが、31日の時点で79平方キロが分裂してしまっている。
以前よりこの棚氷が失くなるであろうことは予測されていたが、それが現実となればやはりショックは大きい。
Canada's last intact ice shelf collapses into the sea
・北極と南極を熱波が襲う
北極は他の地域の2倍もの速さで暑くなっているが、今年は特に暑い。熱波の影響でシベリア各地で森林火災が生じていると伝えられているが、それはカナダも同様だ。
ロイターの報道によれば、今年、カナダ北極圏は過去30年の平均よりも5度気温が高い。7月25日には、エルズミア島ユーリカの基地で観測史上初となる21.9度が観測されたという。
もちろん熱波の影響を受けているのは、ミルン棚氷だけではない。夏の初めには、2つのセント・パトリック氷冠が完全に解けてしまった。また7月に観測された海氷は、過去40年で最低だ。
こうした状況は、地球の反対側にある南極でもまったく同じだ。こちらでも、1990年代以降いくつもの棚氷が崩壊してきた。急激に温暖化が進むこの地球上では、どこの氷も試練のときを迎えている。

ミルン棚氷が崩壊。かなりの部分が北極海に流れたことで、最大79平方キロの氷の島が誕生した。例年を上回る気温、陸風、棚氷の前に広がるさえぎるもののない海。これらすべてが棚氷分裂の要因となる。image by:ECCC Canadian Ice Service
・海面上昇が沿岸地域に与えるリスク
これは私たちにとっても無関係な話ではない。海の上に浮かぶ棚氷は、陸氷を堰き止めているからだ。これが失くなってしまえば、陸氷が海に崩落して、海面は上昇。沿岸地域は多大な影響を受けることだろう。
Satellite animation, from July 30 to August 4, shows the collapse of the last fully intact #iceshelf in #Canada. The Milne Ice Shelf, located on #EllesmereIsland in #Nunavut, has now reduced in area by ~43%. #MilneIceIsland #seaice #Arctic #earthrightnow #glacier pic.twitter.com/jjs1gawoxA
— ECCC Canadian Ice Service (@ECCC_CIS) August 4, 2020
7月30日から8月4日までの衛星映像アニメーションは、完全に無傷だったミルン棚氷の崩壊を示している。ミルン棚氷の面積が約43%減少した
幸いにして、ミルン棚氷が堰き止めていた氷河は比較的少なかった。しかし南極では少々事情が異なる。
最近発表された調査によれば、温室効果ガスの排出が抑制されなかった場合、海面の上昇がもたらす被害は、今世紀中に1420兆円にも達する可能性があるという。
北極や南極で猛暑に耐える氷を救うということは、私たち自身をも救うということなのだろう。
References:cbsnews / usatoday/ written by hiroching / edited by parumo