世界の福本〈プロ野球“足攻爆談!”〉「高卒ルーキーは3年目までが勝負」 (2/2ページ)

Asagei Biz

 高卒でプロで長く飯を食べていける選手は、少なくとも3年目までには光るものを見せる。イチローも高卒3年目でシーズン210安打を記録してブレイクした。もっとも、イチローの場合は1年目からモノが違っていたんやけどね。ファームの試合を見に行くと、いつも簡単に2本ぐらいヒットを打つので、早く1軍に上げればいいのにと思っていた。2年目も1軍首脳陣の言うことを聞かずに2軍暮らし。「僕より監督のほうが早く辞めますから」という感じで肝も据わっていた。3年目に仰木監督が就任して、登録名を鈴木からイチローに変えてからの活躍は言うまでもない。

 でも、この世界は「2軍慣れ」というものがある。2軍のレベルに体が染まってしまったら、抜け出すのは並大抵ではない。イチローも仰木監督との出会いがなかったら、違う野球人生を歩んでいたかもしれん。今年3年目のヤクルトの村上がいい例やけど、一流になる選手はプロの壁に当たっても、翌年には課題を克服してくる。昨年はホームランを36本も打ったけど、184三振で打率2割3分1厘。ところが今年は3割を大きく上回り、首位打者さえ狙える位置にいる。コロナ禍のシーズンでも、輝く選手はきっちり出てくるもんなんや。

福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コーチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビ、ABCラジオ、スポーツ報知で解説。

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