ビートたけしの名言集「大晦日の『男祭り』が録画できておらず…」

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ビートたけしの名言集「大晦日の『男祭り』が録画できておらず…」

「おい、確かインディが明日やるよな?」

 8月22日、土曜の夜の楽屋にて、殿はわたくしの顔を認めるなり、この質問を放り込んできたのです。

 殿が言う「インディ」とは? アメリカ最大のカーレース「インディ500」のことで、翌日の日曜開催となっていました。

 当連載でも何度か書きましたが、殿はスポーツ、主にアメリカの3大メジャースポーツが大好物であり、MLB(野球)、NBA(バスケ)、NFL(アメフト)は、時間が許す限りほぼほぼ見ています。殿はモータースポーツも同じように大好物で、やはり時間が合えば必ず見て、殿の中で「テレビを見る」といった行為は、スポーツもしくは格闘技を見るといったことなのです。

 そんな殿が以前、わたくしのミスにより、楽しみにしていた格闘技を見ることができず、まるで子供みたいにぐずった日がありました。

「殿が大変楽しみにしていた格闘技」とは、2004年大晦日に放送された「PRIDE 男祭り」で、殿も大晦日には仕事があって「PRIDE」の生中継を見ることができず、

「よし、じゃー、新年会がてら、正月に俺ん家でワイワイやりながら録画した『PRIDE』でも見るか」

 と、それはそれは楽しみにしていました。

 で、「PRIDE」の録画を頼まれ、新年会の場に焼いたDVDを届ける役目をわたくしが仰せつかったのです。

 1月4日、予定どおり18時からの新年会開催の連絡を受けたわたくしは「さて、DVDに焼くか」と、ハードディスクの録画記録をチエックすると、あろうことか、まったく違うお笑い番組が録画されており、どこにも「男祭り」が映っていないではありませか。そうです。単純な録画ミスを、いちばんまずいタイミングで思いっきり犯してしまったのです。その事実を認識した瞬間、毛穴という毛穴から嫌な汗が一気に吹き出し、ただただ茫然としたのをよく覚えています。

 もちろん、友人知人にすぐに電話を入れ、誰か他に録画していないか、必死になって探しましたが、その線は全て空振りとなり、あきらめて手ぶらで新年会の開かれる殿邸へと暗い気持ちで向かったのです。

 で、殿はわたくしの顔を認めるなり、新年の挨拶もそこそこに、

「おい、年末の格闘技のやつ、持ってきたか?」

 と、実に明るい声で無邪気に確認してきました。仕方なく、事の真相を精一杯申し訳なさそうに伝えると、

「えっ!! 何だよ! じゃー、今日見れねーのかよ!」

 と、予想していた以上に大きな声と、映画「アウトレイジ」で見せた、あの怖い顔つきで、思いっきり苦言を呈したのです。そして、ややあってから、今度は一転してすねた顔つきになり、

「じゃー、今日これからどうすんだよ。俺はいったい何見たらいいんだよ」

 と、まるで親から何か“おあずけ”をくらい、ふてくされた子供のように、その後もしばらく、ぶつぶつと嘆き続けたのでした。

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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!

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