志村けんさんの場合は!?相続で大金も!弁護士が解説「離婚ペット問題」
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ザ・ドリフターズのメンバーでコメディアンの志村けんさんが、3月29日、新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなってから5か月が経った。
あまりにも突然の別れだったため、今でもネット上では「志村けん今でも生きてるみたいだなあ」「志村けんも未だに亡くなった実感がわかない」といった声が寄せられている。
「志村さんの愛用品などの形見分けなどは、かなり進んでいるようです。6月26日発売の『FRIDAY』(講談社)では、お笑いコンビ・千鳥の大悟(40)が志村さんの愛車、キャデラック・エスカレードを500万円で購入したと報じています。また、亡くなる直前に飼っていた、豆柴の“殿くん”とゴールデンレトリバーの“チロくん”も行き先が決まったと8月27日発売の『女性セブン』(小学館)が伝えました」(芸能記者)
記事によると、関係者の間では『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)で共演していた、嵐の相葉雅紀(37)が引き取るのでは、とささやかれていたという。
「結局は、日頃から犬のお世話をしていた2人の家政婦さんが、引き取ることになったといいます。志村さんは生前に“自分にもしものことがあったら2匹を頼む”とお願いしていたそうで、今はそれぞれの家政婦さんの元で2匹は元気に暮らしているようです」(前同)
■財産分与の対象になるか?
志村さんと殿くんは『天才!志村どうぶつ園』がきっかけで出会い、2011年5月14日の放送では、殿くんの初めての散歩の様子も取り上げられた。
「殿くんとチロくんは志村さんのインスタグラムにもよく登場していたので、ファンには知られた存在だったといいます。そのため、亡くなった直後にSNSでは“犬はどうなんの?”と2匹のことを心配する声も少なくなかったんです。今回、引き取り先が決まったというニュースにも、“家政婦さんの所に行ったんだ それなら志村さんも安心だね”などの反応があがっています」(前出の芸能記者)
一方で、ネット上では「犬は相続財産だったのか」などの反応も見られる。
「万が一のときにペットはどうなるのか、今回の件で考えさせられた人もいたようです。志村さんの場合、特に揉め事はなかったようですが、そうでないときはどうなるのか。たとえば離婚したときのペットの行く先というのは、気になりますよね。ペットは家族ですし、ペットショップで高額な犬や猫を購入するケースもあるでしょう。そのため、そう簡単に決着がつかないこともあるのではないでしょうか」(前同)
そこで、離婚時のペットの扱いについて「弁護士法人 天音総合法律事務所」の代表弁護士・正木絢生氏に話を聞いた。
まず、ペットが財産分与の対象になるのか、について。
「婚姻中に飼い始めた犬や猫などのペットであれば、購入代金を夫と妻のどちらが支払ったかに関係なく、財産分与の対象となります」(正木氏=以下同)
■「対価の支払いは基本的にない」
続けて、
「飼い主にとってペットは家族の一員か、それに準じる仲間ですが、法律上は“物(動産)”として扱われます。動産とは、土地や建物などの不動産以外の物で、たとえば、冷蔵庫やピアノなどをいいます。また、夫か妻が婚前から飼っていたペットは、当該配偶者の特別財産となり、財産分与の対象とはなりません。ただ、相手方の配偶者からの同意があれば、ペットの所有権の譲渡を受けることは可能です」
財産分与の対象となり、どちらか片方が引き取った場合、引き取らなかった方は何かしらの対価を受け取れるのだろうか。
「多くの場合、ペットを引き取らなかった方が、特に対価を受け取ることはないです。通常、財産分与において夫婦の共有資産は、分与割合(原則2分の1)に応じて分与されます。仮にペットに財産的価値があれば、原則として、その財産的価値の2分の1を引き取った配偶者は相手方に支払うことになります。しかし、ペットは飼い主にとって非常に大切ではありますが、物としての財産的価値、すなわち市場での交換価値はほとんど認められない。そこで、対価の支払いは基本的にないんです。
もっとも、離婚時にペットの引き取りに関して、夫婦間で揉める場合、引き取る配偶者が相手方の精神面などにも配慮して、一定のまとまった財産を渡すことの検討が望まれます。ペットを引き取れなかった配偶者の精神的苦痛に見合う支払いや、財産の分与などで、協議がまとまる場合もあります」
■所有者を争うときのポイント
ペットの引き取りを巡って、夫婦間で揉めた場合、所有者を決めるときは何が争点になるのか。
「1つ目のポイントは、婚姻時にペットの世話をしていたのは誰かということです。これは、物理的な世話や、ペットの購入代金や餌代、治療費、その他の費用を支払っていたのは誰か、などの総合的判断に基づきます。
次に、離婚後にペットのための適切な環境を整えられるかどうか。こちらも、物理的な環境、適切な世話、ペットのための餌代や治療費、その他の費用を安定的に払い続けられるかどうかなどの総合的判断に基づきます。そして、ペットがどちらによりなついているかもポイントになります。こうした内容を考慮して、ペットの視点から適切な所有者を定めるのが望ましいです。
先ほども述べましたが、引き取りを希望する側が、相手方にどれだけ支払えるか、または、ペット以外の財産分与をどうするかが交渉をまとめる材料となります。協議が難航するようであれば、弁護士に相談したり、家庭裁判所の調停を利用したりすることも、視野に入れて検討することが望まれます」
人間の子どものように、面会交流はできるのだろうか。
「法律では、特にペットとの面会交流は認められていません。しかし、離婚時に相手方の配偶者から面会交流への同意を得ていれば、可能となります。特に、所有権について争っている場合に、譲歩案として、面会交流を条件の一つに含め、相手方の配偶者がペットを引き取ることに合意するのも、一つの手です。
ただし、合意がまとまった場合は、双方が記名押印する協議書を作成し、面会交流の頻度、場所、1回の面会の長さ、合意に反して面会交流に相手方が協力しない場合の取り決めなど、具体的に記載しておくことが望まれます」
■犬の治療費14万円が!
正木氏は、大きく揉めた過去の事例についても紹介してくれた。
「2012年8月3日に東京地裁が下した判決です。原告が元配偶者である被告に対し、この裁判の対象になった建物を不法占有していると主張して、建物の明渡しと賃料相当損害金の支払いを求めました。すると、被告が原告に対して、双方で“離婚にあたっての生活の条件”として合意したとして、建物についての使用借権(物を無償で使わしてもらう権利)の確認、生活費および慰謝料の支払いを求めました。
判決では、“離婚にあたっての生活の条件”とした合意を離婚後2年間の取り決めと解釈した上でこの合意に基づき、原告の離婚後2年分の生活費などの支払い義務を認め、離婚後2年経過した時点からの原告から被告への賃料相当損害金の請求を容認しました。
そして、合意内容の中には、“原告は、ペットにかかる特別な費用を支払う”の項目も含まれており、合意に基づき、当初被告が支払った犬の治療費約14万円は、原告が負担すべきであるとされました。ペットに関して、予め合意の上、書面に明記しておくことの重要性がわかる事例です」
簡単にまとめると、ペットは財産分与の対象になるが、ペットを引き取らなかった方が特に対価を受け取ることはない。また、結婚前からどちらか飼っていた場合は元々いた方の財産になる。所有者を決めるときはペットの視点から適切な所有者を定めるのが望ましい。面会交流は合意があればできる。
ペットだからといって、軽視することなく、しっかりと話し合いをし、取り決めをすることが大事なようだ。