歴代総理の胆力「安倍晋三(第2次)」(4)長期政権を許した「三つの背景」 (2/2ページ)
そしての、ついにの体調不安による8月28日夕の退陣表明であった。
一方、こうした現状を打破する政権浮揚案はというと、これもとくに見当たらなかった。
9月に予定されていた改造人事も、断行できてもどれだけ新鮮味を打ち出せたかどうか。11月の米大統領選でトランプが負ければ、日米同盟の「盟友」を失うことになる。そのうえで、最大の浮揚策としていた来年に延期とされた東京五輪も、世界のコロナ感染拡大状況を見れば、今秋にはほぼ中止が決まることが決定的という視界不良の状態だったのである。
北方領土返還、北朝鮮拉致、憲法改正問題など、志半ばの無念の退陣のようであった。
■安倍晋三の略歴
昭和29(1954)年9月21日、東京都渋谷区生まれ(本籍地は山口県)。神戸製鋼所入社後、父親の安倍晋太郎外相の秘書官。平成5(1993)年7月、衆議院議員初当選。平成18(2006)年9月、第一次内閣組織。「再登板」は吉田茂以来64年ぶり。
総理大臣歴:第96代 2012年12月26日~
小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。