10垓分の1秒単位、史上最短の現象が計測される(ドイツ研究)
史上最短の現象が計測される/iStock
どうやら一瞬の定義は塗り替えられてしまったようだ。ドイツの研究者によって史上最短の現象が計測されたからだ。
それは光子が水素分子1個の長さを通過するのにかかる時間
10垓(がい)分の1秒単位の長さの現象だ。
・超高速のミクロの世界
ミクロの世界は超高速の世界でもある。人間の時間感覚では一瞬でしかない1秒ですら、まるで永遠であるかのように思えてくる。
化学物質の結合と分離はわずか「フェムト秒」(1000兆分の1秒)で起こる。ゆえにここ数十年では、そうした超高速世界の現象を計測するためにフェムト秒レーザーパルスが利用されてきた。
だが、もはやフェムト秒すらのろま扱いされる日が来てしまった。
・光子が水素分子を通過するまでの時間
ドイツ・フランクフルト大学とフリッツ・ハーバー研究のグループは、水素(H2)分子にX線を照射して2つの電子を排出(光電離)させ、そのときの干渉パターンを計測。これによって光子が最初に水素原子に到達し、それから分子に到達するまでの時間を超々精密に算出した。
その結果は247ゼプト秒だ。

image by:Sven Grundmann, Goethe University Frankfurt
・10垓分の1秒、それは空の時間
1ゼプト秒は10のマイナス21乗秒――すなわち10垓分の1秒で、件のフェムト秒の100万分の1の短さだ。10垓分の1を日本の数字の単位で表すと「空」というらしく、なんだか悟りを開けそうな境地になってくる。
だが小数点を使って記述するなら、0.000000000000000000001秒。超々小さな数であるはずなのに、とてつもなく大きいと錯覚しそうになる。
ちなみに1秒に含まれる1ゼプト秒の数を数えてみると、31兆7000億年に含まれる1秒の数に匹敵するという。その年数は、この宇宙が始まって以来の長さのさらに2365倍の長さだ。
・電子殻の反応には時差がある
同グループは、2016年にもヘリウム原子に光子が命中してから電子が排出されるまでの時間が850ゼプト秒であることを計測している。
今回その最短計測記録はさらに3分の1ほど縮まった。これによって、分子内の電子殻が位置に関わりなく一瞬で光に反応しているわけではなく、多少の時間差があることが初めて確認されたそうだ。
この研究は『Science』(10月16日付)に掲載された。
Zeptosecond birth time delay in molecular photoionization | ScienceReferences:newatlas/ written by hiroching / edited by parumo
https://science.sciencemag.org/content/370/6514/339