思ってたより近かった。超大質量ブラックホールはこれまで想定されていたよりも地球に近いことが判明(日本)
大質量ブラックホールは思ってたより地球に近かった /iStock
どうやらこれまで地球の位置は勘違いされていたらしい。
最新の技術で天体の距離を測定して作られた天の川の新しいマップによると、太陽系は銀河の中心に想像以上に近いところにあることが判明したそうだ。
天の川の中心には「いて座A*」という超大質量ブラックホールが鎮座し、ありとあらゆるものを飲み込んでいる。
念のために言っておくと、心配には及ばない。地球がいて座A*に接近しているわけではないそうなので、飲み込まれてしまうことはない。ただ天の川における我々の位置がより詳細に分かったというだけのことだ。
・天文学において距離が重要な理由
宇宙を2次元でマッピングするだけならそれなりに簡単だ。だが天体の距離を正確に計測することが難しいために、3次元マップの作成となるとぐっと難易度が上がる。
じつは距離は天文学者にとって一般人が想像する以上に重要なものだ。なぜなら天体の本来の明るさを知る手がかりになるからである。
たとえば少し前に超新星爆発を起こすのではないかと話題になったオリオン座「ベテルギウス」は、以前考えられていたよりも地球に近いことが明らかになっている。このことはこの星が思っていたほど大きくも明るくもないということを意味する。
その反対に、350年前に爆発した「こぎつね座CK星」はずっと遠くにあったことが判明した。それは1670年に観測された爆発が見た目以上に明るく、激しいものだったということを意味している。
このように測定された距離が正確でないと、分析する際の前提まで正確でなくなってしまうために、現象の正しい理解を阻むことになってしまう。

いて座A*(中央)image by:NASA
・2300キロ級に匹敵する電波望遠鏡で測定
今回の天の川の新マップは、日本の国立天文台が推進する「VERAプロジェクト」の成果だ。
プロジェクトの目的は、精密な銀河系3次元マップを作成することだ。水沢局(岩手県奥州市水沢区)、入来局(鹿児島県薩摩川内市入来町)、小笠原局(東京都小笠原村父島)、石垣島局(沖縄県石垣市)に設置された口径20メートルの電波望遠鏡を連携させ、2300キロ級のアンテナに匹敵する観測性能を実現。
年間を通して観測し、地球の公転によって生じる年周視差(parallax)から従来の100倍の精度で天体の距離や運動を測定する。

image by:NAOJ(日本国立天文台)
・銀河中心までの距離は2万5800光年
1985年、国際天文学連合によって発表された銀河中心までの距離は2万7700光年だった。また昨年ヨーロッパ南天天文台パラナル観測所のGRAVITYは、2万6673光年と計測している。しかしVERAプロジェクトによる計測値は、さらに近く2万5800光年である。
それだけでなく、太陽系の公転速度も従来の想定より速いという結果が得られている。これまで秒速220キロとされていたが、新しい測定結果によれば秒速227キロだった(そう、我々は銃弾なんて比べ物にならないくらいの速度で宇宙をぶっ飛んでいる)。
それほど大きな違いには思えないかもしれないが、天の川の中心で起きている現象の観測やその解釈に影響を与える可能性があるとのこと。
なおVERAは今後も天の川を観測し続けるが、「東アジアVLBI観測網」に参加することも決定している。アジア各国の電波望遠鏡と連携して構築されるのは、直径5500キロ級に及ぶ世界最大の観測ネットワークだ。
この研究は、『Publications of the Astronomical Society of Japan』(4月24日付)に掲載された。
References:日本国立天文台/ written by hiroching / edited by parumo